近年、日本の近代史研究における都市史研究の盛行には目を見張るものがある。
本書は、「都市下層社会と部落問題」研究会(部落解放・人権研究所)に参加した10人の研究者が、 歴史学の立場から近代日本の都市下層社会と部落問題について考察した研究成果を編んだものである。
一人が一都市を担当し、史料を読み込み、現状を見据えて論文を執筆。取り上げた都市は、 東京・横浜・京都・三重・大阪・神戸・和歌山・福岡。研究者はもとより、一歩深めて部落史を考えたい読者にすすめたい。
03年刊。
〈主な内容〉
序論/小林丈広
第一部 近世との連続・断絶
「都市下層社会」の成立―東京―/中島久人
都市の近世と近代―京都―/小林丈広
部落差別発生の現場―福岡・明治初年の日記を手がかりに―/石瀧豊美
第二部 近代化と「部落問題」の形成
都市における部落問題の形成について―東京・荒川区(三河島)の皮革産業の場合―/友常勉
“都市部落”への視線―三重県飯南郡鈴止村の場合―/黒川みどり
都市部落における大阪市編入期の諸問題―南区西浜町をめぐる資力と社会認識―/吉村智博
被差別部落の衛生調査とトラホーム対策―大阪―/小島伸豊
第三部 都市スラム分析の視角から
都市の縁へ―二〇世紀初頭の横浜というフィールド―/阿部安成
都市衛生システムの構築と社会的差別の形成―神戸―/安保則夫
都市下層の「社会的結合関係」と米騒動―和歌山―/重松正史