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山本政夫著作集

 

 

大阪人権博物館 編

A5判上製 710頁
定価10,000円+税




ISBN978-4-7592-4120-4 
C3036

山本政夫は瀬戸内の漁村部落に生まれ、1920年代以来、部落解放運動の理論的リーダーとして活躍、「融和事業完成10カ年計画」や「同和対策審議会答申」の策定に貢献した。山本の部落問題をめぐる発言を集成した初の著作集。

●主な目次

序文 財団法人黎明会会長 小道廣海
刊行にあたって 大阪人権博物館館長 秋定嘉和

T 主要論説集
普通選挙と差別問題
全国融和聯盟の使命
融和運動の必然性とその価値
水平運動に関する理論的考察
部落解放運動の概観
水平運動の凋落過程と新展開の成否
融和運動戦線に於ける宗教家の立場
法制的差別撤廃の意義
融和運動における自覚運動の意義
岐路に立てる融和運動 部落経済問題の素描
全国水平社の解消闘争批判
経済更生運動に関する理論的考察
最近に於ける融和運動の進展
融和事業完成十箇年計画実現に関する一考察
戦時と融和事業
戦時体制と産業組合
同和対策の前進のために
奈良本教授の「部落解放の展望」
など二十七編

U 小論・小文集 1922?1937年の小論・小文  百三十余編

資料編
人間社宣言・決議/全国融和聯盟創立趣旨/大和会創立趣意書/大和報国運動の意義と任務/部落解放人民大会における「人民生活擁護に関する決議案」提案/証言書 大和報国運動と松本治一郎氏の関係について/全日本同和会綱領・宣言/黎明会設立趣意書/同和対策審議会総会における発言 など
山本政夫著作目録
山本政夫略年譜
父・山本政夫の思い出  山本幸子
解説 山本政夫の生涯と思想   朝治 武

●前書きなど
(以下は、秋定先生の「刊行にあたって」をもとにまとめたもの)
 山本政夫は1898年に生まれ、1993年に没した。広島の一漁村で家は網元とはいえ、被差別部落出身の労苦を一身に背負っての登場であった。一世紀に近い生涯で、そのストイックな行動は周辺に大きな影響をもたらすのである。  山本の出発点は、郷里の青年団活動のなか、地元の差別事件への抗議で始まった。それは同時に島嶼聯盟の結成であり、有力な融和団体広島県共鳴会のメンバーとつながることであった。全国水平社創立の1カ月前のことである。  山本は全国水平社に共鳴しながら、一方、広島県の融和行政に協力する。この山本の上部からする部落改善と解放への姿勢は、その後もつづく。同和行政を通じての部落の生活や産業経済の改善と向上、部落民の思想や教育の向上に努めた。一方、一般社会に対して差別の反省、あわせて日本国民の自由・民主主義的資質の開化と努力を求め、ともに歩んでいくのである。これが山本が自分に課した一貫した報われることが少ない途であった。  また、山本は、差別をなくすること、とりわけ部落の生活と産業・経済の改善を重視したヒューマニストあった。青年時代の地元での地区整理事業での経費負担、運営上の苦労は有力者の協力もあり、工事の完成に至るのである。この体験から、一般社会との部落改善の共同と連帯の視座をもつことになる。  このことは、山本の、いま一つの特徴である全国的・中央的視野からする融和運動による問題の解決を考えることに連なるのである。1925年以後の東京での山本の議会と言論活動は、その内容と多様性が、広い注目をあびた。1929年以後、山本は中央融和事業協会で自己主張を貫徹する方途を選択する。 ときは、世界的な恐慌、戦争接近のころであった。山本は経済更生運動や「融和事業完成10カ年計画」を中心になって推進したが、戦時色が強まるなか、中央融和事業協会を支配した平沼騏一郎らの天皇主義や日本主義の精神的高揚のなかで、山本の合理主義は否定されたのである。  戦後の山本は、郷里の漁村経済の復興に努力するが、やがて漁業不振のなか、再度上京し、同和運動に復帰、全日本同和会の理事となった。政府の同和対策審議会の委員となり、「同和対策事業特別措置法」(1969年)から、現在の「地対財特法」延長終了(2002年)の基盤づくりの一端を担った。 現在、日本近代史の論壇のうえで、戦前と戦後の社会の連続と非連続の問題が論じられている。山本は、その検討に価する代表的人物である。被差別部落のように重層的社会が戦前と戦後とは、あまり切れていない社会では、人物像として山本は代表的モデルとされるだろう。山本の特徴は戦前と戦後の一貫性にあり、自由・民主主義的視野と行動のなかにあった。  山本のこのような思想と行動の軌跡は、1920年代以来の山本の数多い著作のなかにたどることができる。戦前においては、融和団体機関紙誌、社会事業関係紙誌を舞台に旺盛な執筆活動を展開し、戦後においては、特に1960年前後から、数冊の著作において、部落問題を論じ、その解決の道筋を展望した。このような山本の膨大な著述から主要なものを選び、その全体像を一望しようとの意図から編まれたのが本書である。本書は、山本の著作と関連資料を初めて集成した著作集であり、その資料的価値は高く、部落問題研究に資するところ大なるものがあるといえよう。

 


 

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