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人権教育と市民力

「生きる力」をデザインする

 

 

平沢安政 編著

 

A5判並製 191頁
定価2000円+税

978-4-7592-2149-7
C0036

 

日本の人権教育は、とくに同和教育を中心に発展してきた歴史をもっているが、1990年代以降人権教育が対象とする個別人権課題は部落問題だけでなく、ジェンダー、障がい者、子ども、外国人など、人権課題はきわめて幅広く捉えられるようになり、また豊かな人権文化の構築に焦点をあてた普遍的視点からのアプローチ(自尊感情の育成、多文化共生、生命の尊重、法的リテラシー等)も広がってきた。
このように、人権文化の確立や人権教育の推進を促す国内外の社会状況に対応しながら、人権教育の実践と研究は今も進化し続けており、「人権と環境の世紀」ともいわれる21世紀において、人権教育を推進することは時代の必然的要請となっている。
本書では、同和教育の歴史と成果をふまえつつ、人権教育を今後さらに幅広く推進していくために、人権教育にかかわるさまざまな分野で先端的な研究や実践を行っておられる研究者・実践家の皆さんに各章を執筆していただいた。全体は大きく分けて、@人権教育の発展経緯と今日的な政策課題を論じた総論部分、Aジェンダー教育、同和教育、ニューカマー教育、子どもの権利と教育、障害と教育等、個別人権課題の視点から人権教育について考察した部分、B教育コミュニティづくり、キャリア教育、市民性教育等の問題意識をふまえ人権教育との接点を拡大している関連領域の観点から人権教育の課題を示した部分、から構成されている。
このように、本書では学校人権教育の「いま」を歴史的な発展過程の中でとらえ直し、今日的な政策課題と合わせて描き出すとともに、いくつかの個別人権課題に即したそれぞれの現状分析(個別的な視点からのアプローチ)と拡大・発展しつつある学校人権教育の実践領域の概観を示している。書名を『人権教育と市民力』としたのは、人権教育が狭い意味での人権問題教育の段階を越えて、普遍的な視点からのアプローチとの効果的統合が求められるようになり、また「自立/自律」「自己実現」「共生」「協働」「社会参加」などに焦点をすえながら、21世紀という新しい時代を生きる市民力の育成につながるものとして、今後もさらに継続的に進化させていく必要があると考えたためである。
個々の章では必ずしも「市民力」のことが明示的に論じられているわけではないものの、全体を貫く共通のメッセージとして読み取っていただけることを願っている。

もくじ

刊行にあたって  平沢安政
第T部 人権教育の過去・現在・未来
第1章 総論 これからの人権教育の創造にむけて          平沢安政
第2章 教育現場の多忙をどう解消するか―人権教育を進めるために  大森直樹

第U部 個別人権課題の視点から見た人権教育
第3章 ジェンダーの視点からの教育                木村涼子
第4章 同和教育―学力保障の再考                 高田一宏
第5章 ニューカマー教育                     志水宏吉
第6章 子どもの権利                       住友剛
第7章 障害と教育                        堀家由妃代

第V部 拡大する人権教育の領域
第8章 キャリア教育(進路保障)                 神野ちどり
第9章 「国際理解」教育から市民性教育へ―人権教育の果たす役割  野崎志帆
第10章 教育コミュニティ―多様なつながりから人権文化を育む    若槻健

おわりに
プロフィール

 

 

【著者略歴】

●平沢 安政(ひらさわ やすまさ)編者
大阪大学大学院人間科学研究科教授(生涯教育学・人権教育学)
主な著書・論文・・・『解説と実践 人権教育のための世界プログラム』(解放出版社、2005年)/「教員対象の人権教育研修」(社)部落解放・人権研究所『学びから始まる私たちの人権』(解放出版社、2010年)/訳書 バンクス『入門多文化教育―新しい時代の学校づくり』(明石書店、1999年)
大森 直樹(おおもり なおき)
東京学芸大学教育実践研究支援センター准教授(教育学、教育史、教育実践、人権教育)
主な著書・論文・・・編著『子どもたちとの七万三千日―教師の生き方と学校の風景』(東京学芸大学出版会、2010年)


●木村 涼子(きむら りょうこ)
大阪大学大学院人間科学研究科教授(教育社会学、ジェンダー研究)
主な著書・論文・・・『学校文化とジェンダー』(勁草書房、1999年)、『<主婦>の誕生 婦人雑誌と女性たちの近代』(吉川弘文館、2010年)/木村涼子・小玉亮子著『教育/家族をジェンダーで語れば』(白澤社、2005年)、木村涼子・古久保さくら編著『ジェンダーで考える教育の現在 フェミニズム教育学をめざして』(解放出版社、2008年)


●高田 一宏(たかだ かずひろ)
大阪大学大学院人間科学研究科准教授(教育社会学、同和教育論、地域教育論)
主な著書・論文・・・編著『教育コミュニティの創造』(明治図書、2005年)、『コミュニティ教育学への招待』(解放出版社、2007年)


●志水 宏吉(しみず こうきち)
大阪大学大学院人間科学研究科教授(教育社会学、学校臨床学)
主な著書・論文・・・『全国学力テスト―その功罪を問う』(岩波ブックレット、2009年)、『学力を育てる』(岩波新書、2005年)
住友 剛(すみとも つよし)
京都精華大学人文学部准教授(教育学)
主な著書・論文・・・『はい、子どもの人権オンブズパーソンです』(解放出版社、2001年)


●堀家 由妃代(ほりけ ゆきよ)
佛教大学専任講師(特別支援教育、教育社会学)
主な著書・論文・・・「「力のある学校」におけるインクルージョン」志水宏吉編『「力のある学校」の探求』(大阪大学出版会、2009年)
神野 ちどり(かみの ちどり)
東大阪市立枚岡東小学校 校長

●野崎 志帆(のざき しほ)
甲南女子大学文学部多文化コミュニケーション学科准教授(市民性教育)
「人権教育におけるセルフ・エスティームの課題と果たしうる役割」『甲南女子大学研究紀要 No.46人間科学編』ほか


●若槻 健(わかつき けん)
甲子園大学准教授 (市民性教育 カリキュラム研究)
主な著書・論文・・・編著『教育社会学への招待』(大阪大学出版会、2010年)

 


 

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