福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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ODAのチェック・システムを
〈『部落解放』2002年11月号〉

(2003/01/23up)

 八月末から、南アフリカのヨハネスブルクで開かれた「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(環境サミット)に出席してきた。また、モザンビークに行き、日本のODA(政府開発援助)をチェックしてきた。
 日本は、ODAとして、一九七七年以降、アジア、アフリカ、中南米諸国などを対象に毎年二百億円から三百億円規模で、食糧増産援助をしてきた。これは、農業資機材(農薬、化学肥料、大型農機具)を供与するもので、主に農薬などが供与された。この農薬などがほとんど使われず、放置され、倉庫の中などに積まれ、使用期限が切れてしまっているのである。農薬は、使用期限が切れると、まったく使いものにならなくなってしまう。燃やすとダイオキシンが出てしまい、アフリカでの処理は困難である。
 モザンビークは、最近まで内戦状態であった。にもかかわらず、日本は、モザンビークに対して、十五年間、百十五億円にのぼる農薬などをODAとして供与しつづけてきたのである。モザンビークでは、回収された農薬が、野積みされていた。盗まれたり、中身の農薬が捨てられ、ドラム缶だけが使用されたりしている。
 見えてきたものは、日本のODAが、無駄であるだけでなく、有害になっているのではないかということである。  もちろん、ODAは必要である。
 しかし、ODAは、八十二兆円の国家予算のうち一兆円を使っているにもかかわらず、あまりにその中身が検証されてこなかったのではないか。
 先日、東京地方裁判所に、インドネシアのスマトラ島の住民約三千八百人が、日本のODAによるダム建設について、日本などの責任を問う裁判を提訴した。裁判を提訴した人たちに会ったが、住まいを追われ、職を失い、大変な人権侵害を受けている。生存そのものがおびやかされている。「開発難民」「ODA難民」といえるのではないだろうか。
 ヨハネスブルクの環境サミットにおいて、NGOが、ODAを変えようというNGOフォーラムを行った。ここでは、前述した食糧増産援助の問題、インドネシアのダムの問題、ケニアのソンドゥ・ミリウダムの問題などが、現地の人たちから報告された。  ODAには二つの問題があると思う。国内の政・官・業の癒着の構造である公共事業をそのまま外国へ持っていって、ODAとして供与しているという問題と、さらに、日本ではなかなかできなくなった巨大ダム建設や大量の農薬の販売といったこと、つまり、日本ではもうできなくなった公共事業をODAとして供与しているという問題である。
 公共事業を透明化し、公平・公正に行われるようチェックするような法律とシステムが必要である。また、ODAの中身をチェックするようなODA基本法やシステムも必要である。
 環境の問題一つとっても、有償のODAの場合、環境ガイドラインが適用になるのに対し、無償のODAの場合は、コンサルタント会社に環境ガイドラインを適用するよう要請することになる。無償のODAにももっと厳しく環境ガイドラインが適用されるようにすべきである。
 食糧増産援助として毎年、使われない可能性のある農薬を供与しつづけてきたことに端的にあらわれているように、いったん開始されたODAをチェックすることがほとんどできていない。
 国民の税金を毎年一兆円使いつづけていながら、世界中のさまざまな人たちの憤りをかっているというのはどういうことだろうか。ODAが、現地の政治家や役人、そして日本の政治家や役人の利権となっている場合もある。日本の税金が現地の政治・社会の腐敗を生み出しているというのは、ひどい構図である。
 ODAをもっとチェックしよう、ODAの中身を変えようとほんとうに言いたい。
 いわゆる北の国々の既得権益拡大が、いわゆる南の国々の貧困を拡大させ、地球の環境も悪化させていることも、ヨハネスブルク環境サミットが提起したことである。日本のなかでやれることが山ほどある。




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