福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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欺瞞に満ちた戦争
〈『部落解放』2003年5月号〉

(2003/04/18up)

 三月二十日、アメリカがイラクに対する戦争を開始した。なんとか戦争をやめさせたいと思っていたので、怒りのあまり眠れなかった。
 強大なる国家の力によって戦争が起こり、人々が殺されていく。
 愚かな政治家たちが、野蛮な戦争をしていく。
 ブッシュ大統領も小泉総理も「平和のための戦争」「自由のための戦争」と言うけれど、「平和」や「自由」を理由に国家による殺人をするのは、まったくの欺瞞である。
 ブッシュ大統領は、先制攻撃を謳っている。「四十八時間以内に国外退去せよ。そうしなければ武力行使をするぞ」ということが認められるのであれば、ブッシュ大統領の気にいらない首相や大統領のいる国に対して先制攻撃を行うことも、認められることになる。「脅威だ」ということで先制攻撃がなされるのであれば、どの国だって対象になりうる。ほんとうにおかしい。領土が破壊され、建物が壊され、人々が理不尽に殺されるのである。
 今回の武力行使は、先制攻撃であるということ以外にも、安全保障理事会の決議がないという点でも問題がある。
 国連の査察委員長も「あと数カ月の査察が必要である」と言ったにもかかわらず、ぶち切って武力行使が行われている。大量破壊兵器をなくすために武力の威嚇が行われていたのではなく、政府転覆のために武力の行使をしているのである。
石油利権や軍需産業のための戦争という言われ方をする。また、ネオコンサーバティブ(新保守主義)の立場からの戦争という言われ方もすることがある。
 どちらにしろ、ほんとうにひどい話だ。
 それにしてもほんとうに情けないのは、日本の政府である。国会でどんなに質問しても「仮定の質問には答えられません」と答えつづける。「仮定の質問」ではないのに。
 攻撃直前に、「国連の決議なくして武力の行使をすることに賛成か反対か」と聞いても、ムニャムニャ。「安保理決議があることが望ましい」としか言わない。最後に、もう一回聞くと、「いま、そのことを申し上げる段階ではありません」というのが回答。
 でも、ブッシュ大統領が武力の行使を宣言すると、ただちに「アメリカを支持します」と宣言。安保理決議がないにもかかわらず、湾岸戦争のときの決議を持ち出して、決議があると言う。この決議で武力行使ができるとなると、ずっと湾岸戦争は続いていることになってしまう。安保理決議がないからこそ、決議をさせようと日本政府は、ODAを武器に非常任理事国を説得していたのに、とれないとなると、急に安保理決議があると言い出した。
 日本は、万が一、北朝鮮に攻撃されたときにアメリカに守ってもらわなければならないから、アメリカを支持するしかないという言われ方がされることがある。
 しかし、これもひどい話だ。外国に攻められるかもしれないからイラクの人が戦争で死んでも仕方ないという考え方は、殺される人にとってはたまらない。「強者」につくしかないのだ、「強者」を支持するしかないのだというのでは、それこそ理念も正義もまったくない。
 私は、日本国憲法があってよかったとほんとうに思っている。  もし憲法九条がなかったら、日本はイギリスと同じように、参戦をしていただろう。
 ところで、いま、もう「復興支援」の話が出てきている。もっと正確にいうと、アメリカが武力行使をする前から、政府は復興支援の話をしている。
 人道支援というのであれば、何よりも戦争をすぐ止めることである。人をどんどん殺し、インフラを破壊しておいて、インフラを整備すると言うなんて、まったくの偽善である。
 また、「復興支援」という名の「戦争参加」になってしまう。
 有事立法三法案が、国会に継続している。戦争のための法律はいらないと声を上げていかないと、とんでもないことになってしまう。




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