福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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安心できる年金制度を
〈『部落解放』2004年7月号〉

 

   年金問題が大揺れである。
 閣僚や厚生労働副大臣、少なくない国会議員の人たちの保険料が未納であることが明らかになった。
 国会議員の人たちは、議員年金があること、あるいは、国民年金に頼らなくてもすむ人が多いことから、未納になっているものと思われる。自分の問題として切実に、安心な年金制度をつくっていくという気迫が議員のなかで弱いということがまさに問題である。
 また、改革案は、まったく抜本改革になっていないこと、国民への負担増だけになっていることが問題である。
 年金局長のもとに、女性と年金検討会が設けられ、長期間議論されてきた。また、年金審議会での議論もあった。しかし、まったくと言っていいほど法案に反映されていない。
 女性は、だれと結婚したかによって、一号、二号、三号と分けられている。自営業の妻は、自分が保険料を払わなければ、無年金となってしまう。女性はあるときは、二号被保険者となって、自分で保険料を納める。そして、あるときは、被扶養の立場で三号被保険者(サラリーマンの妻で、専業主婦の人たち)となって、保険料を納めなくてもすむ。無年金とはならないのである。しかし、離婚をすれば、一号となったり二号となったりする。夫が亡くなったときの遺族年金も一号と三号でまったく違ってくる。
 生き方や立場の違いで、有利になったり不利になったりするのは、まったくおかしい。どんな生き方を選んでも安心できる年金制度にすべきである。
 今回の改正案は、一号と二号と三号で離婚の際の年金分割の扱いはまったく違っている。このことも不公平ではないだろうか。
 生き方や立場の違い、どんな職業の男性と結婚したかによって、年金の保険料の支払いや受け取りが違ってくるのはおかしい。そのことをなくすためには、世帯単位ではなく、個人単位にし、どんな人にも最小限度のミニマム年金を保障すべきである。
 ところで、制度論がいちばん重要なことだけれども、百四十七兆円という年金積立金の問題も重要である。これは、闇に閉じこめられていた巨額のお金であり、これを国民の手に取り戻すことが必要である。
 いま、税収は年間約五十二兆円である。だから、百四十七兆円という年金積立金がいかに巨額かわかっていただけるだろう。
 株の運用の失敗によって六兆円以上も損失を出し、全国に造ったグリーンピアもすべて閉鎖が決定された。年金積立金の目的外使用も明らかになっている。ところで、年金積立金のうち百兆円以上は、道路公団などの特殊法人に貸し付けている。だから、百四十七兆円というのは帳簿上の数値にすぎず、すべて回収できるかどうかは、実は未知数なのである。
 たとえで言うと、こういうことではないか。子どもが大学に入学するときのために百四十七万円あると妻は思っていた。子どもが合格したので、夫に「お金を出して」と言ったら、「いやあ、株を買って損をして、パチンコで使ってしまった。それから、百万円を友人に貸しているよ」と言われたようなものではないだろうか。妻にしてみれば、「えっ、あの人に貸した百万円、きちんと返ってくるの?」というところではないか。
 ところで、今回の年金改革法案と同時に、この年金積立金を扱う基金が独立行政法人となるという法案も提出されている。これで、百四十七兆円という巨額の積立金を投資・運用する独立行政法人ができるのである。いままで運用に失敗してきて、果たしてできるだろうか。しかも理事長などは、日銀の総裁などと違って、国会同意人事でもない。しかし、理事長が運用について決定していくのである。
 みんなの年金積立金は、年金を安心なものにするためにこそ使うべきである。
 グリーンピアの問題などが出ながら、だれも責任をとらず、だれも謝罪もしていない。
 なんのために税金や保険料を払うのか。一人ひとりが主人公という社会をつくるために、この年金積立金を国民の手に取り戻そう。チェック機能を働かせようではないか。




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