福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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米軍再編とキャンプ座間
〈『部落解放』2005年1月号〉

 

 私は、神奈川県に住んでいる。私の住んでいる所は、厚木基地を拠点として訓練する米軍などの騒音で、時々うるさい。厚木基地の近くに行くとほんとうに騒音がひどい。この騒音については、四十年に近い裁判闘争があり、裁判所も何度も違法であると判決を出し、行政の不作為も明確に問題であると指摘されている。
 基地の問題は、自分自身の問題でもあるのだ。
 米軍の基地再編が問題となっている。
 ラムズフェルド国防長官は、四原則を発表し、九月二十三日、アメリカ議会の委員会でも発言している。「歓迎されない所に基地を置かない」、そのことを明言している。
 米軍再編の問題について、「歓迎されない所に基地を置かないでほしい」と住民の立場でもっと言っていこうではないか。
 先日、キャンプ座間(神奈川県座間市の米軍基地)の視察を行った。キャンプ座間に、現在ワシントン州にある米陸軍第一軍団司令部が移転するという大問題が起こっているためである。副参謀長(大佐)が対応してくれた。
 大佐は、「日本政府が来るなと言えば来ない。来いと言えば来る」という明確な言葉だった。
 ところで、視察をして、たいへん危機感をもった。
 「司令部を移すことは、場所や多くの軍人たちの住居を準備するなどの点で、キャパシティー(容量・能力)として無理ではないか」と聞いたときである。答えは「キャパシティーや住民への説明などについては、研究し、(上部に)提案をしている」というものであった。提案までしているのであるから、相当進行しているといえるのではないか。
 キャンプ座間に、米軍司令部を置くことは、日本の平和政策、外交などの点で大転換を生み、許されないことである。
 日米安保条約は、「極東」に範囲を限っている。米軍司令部は、中東までも含む米国の「世界戦略」のもとに、まさに「司令塔」として機能するところである。米軍司令部が、日本の都市にやってくるということは、まず、第一に、日米安保条約の「極東」条項に明白に反するものである。
 第二に、沖縄が「前線」であるとすれば、神奈川は「司令塔」になるのかという思いがある。沖縄国際大学に墜落した米軍ヘリは、イラクへ向かう予定であった。墜落した後においても、同種のヘリはイラクへ向かった。ファルージャにおける村民虐殺に沖縄海兵隊の人たちも参加している。沖縄に行ったときに、沖縄の向こうにイラクがあると痛感したものだ。
 沖縄における普天間基地の返還と辺野古沖の海上基地の建設中止は、すぐにでもなされるべきことである。
 ところで、神奈川が「司令塔」となっていくことも問題である。アメリカの「世界戦略」に日本も一体のものとして組み込まれてしまうことになる。
 キャンプ座間が米軍のための情報収集を地球規模で行い、世界で戦争をしていく米軍の拠点にますますなっていく。キャンプ座間は、そのような拠点として世界の多くの人たちから憎まれてしまうのではないか。そして、むしろテロの標的となってしまうのではないだろうか。日本はアメリカから「テロに対するリスクを日本も半分負え」と言われているような気すらする。
 私が思うのは、日本はいつからアメリカの州になってしまったのだろうかということである。そして、国民の一人として思うのは、アメリカの戦略にそのまま巻き込まれることに責任をもてないということである。
 アメリカのイラクへの武力攻撃に反対である。しかし、今後、一体として動くのであれば、まさに自動的に組み込まれることになる。日本には、平和憲法があり、「戦争をしない」と決めているにもかかわらず、何ということだろう。戦争に加担していくことになりかねない選択に賛成することはできない。
 また、実際、厚木基地周辺の騒音は、今よりひどくなっていくのではないか。基地の強化はごめんである。今の時代こそ平和への思い、実践、運動、取り組みが求められている。 




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