福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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非正規雇用と格差社会
〈『部落解放』2005年11月号〉

 

 私のまわりには、パートや派遣、契約社員で働いている人がいっぱいいる。私が大学を卒業するときは、正社員になるのが当たり前といった雰囲気があったが、いま、学校を出てもなかなか職がない、あっても非正規の仕事ということが多くなった。
 統計でもはっきりしている。いまは、三人に一人が非正規雇用である。女性に関していえば、二人に一人が非正規雇用である。そして、非正規雇用の八割の人が、月収二十万円以下である。
 ビジネスマンの人たちと話をしていると、「いま好況ですよ」という話を聞くことがある。
 うーん、儲かっているところは、儲かっているのだ。
 しかし、この社会のなかで、明らかに二極分化が進んでいる。いま、統計をとりはじめて以来、所得の格差が過去最高となっている。
 この二極分化の問題は、日本だけの問題ではない。ハリケーン「カトリーナ」の被害の報道では、アメリカの格差社会のことが問題になった。お隣の韓国も非正規雇用の問題があり、それについての取り組みも活発だということで、「非正規雇用フォーラム」のメンバーで、視察と交流に出かけた。
 韓国には、民主労組(七十万人組織)と韓国労組(八十万人組織)がある。それと、非正規雇用センターというNGOも訪問した。
 韓国も日本と同じように労働法制の規制緩和が行われ、非正規雇用が増えている。五六パーセントともいわれている。働く女性のうち七割が非正規雇用である。非正規雇用の人たちの賃金は、正規雇用の人の五一・九パーセントにすぎない。有給休暇の取得率も低く、保険の加入率も低い。組合の組織率も、正規労働者が二三・四パーセントなのに対し、非正規労働者は三・二パーセントである。このあたりも日本とよく似ている。
 労働組合の人たちは、このことについて危機感をもっていた。二極化、差別化が起こり、組織された労働者で解決できなくなっているというわけだ。これも日本で同じような問題が起きている。
 韓国では、非正規雇用立法をかちとるためのストライキを十一月に行うと言っていた。国会に上程されている法律案をまともなものにするためのストライキである。
 次に、現場の運動をし、支援するために、五億ウォン基金のカンパ集めをしていた。このポスターがはってあったが、一万ウォン(大ざっぱにいって千円くらいか)のカンパを要請していた。これは非正規雇用の人たちの待遇改善のためだが、非正規雇用の人たちの待遇改善をしなければ、正規雇用の人たちの労働条件もきわめて悪くなってしまうという面がある。「逆均等待遇」ともいわれているが、日本もパートの人たちの労働条件に正社員の労働条件が引きずりおろされるということも起きている。
 だから、非正規雇用の問題に取り組むことは、正規雇用の人たちにとってもいいのだという「一石二鳥」キャンペーンをしていた。「一石二鳥」と漢字で書いてあって、面白かった。
 日本でもこんなキャンペーンをもっとやりたいと思った。
 韓国でも、現場では弾圧されたり、正規の人と非正規の人たちが反目しあって対立したり、法制度が悪く進んでいるなど、問題は山積している。ある非正規の人は、抗議の焼身自殺をした。
 そんななかで、私たちが学ぶべきことは、いっぱいあると思った。
 それは、まず第一に、非正規雇用の問題をしっかり「社会問題化」していることである。大きな労働組合がストライキを打つことにもあらわれている。これは、まだ日本ではやりきれてはいないことである。
 第二に、現場の情熱である。現場の運動で変えていこうという熱気は、あちこちにあり、そのことは率直に学ぶべきと思った。
 第三に、非正規雇用センターなどのシンクタンクの役割も大きい。
 格差拡大社会を変えていくために、非正規雇用の問題にもっと大きく取り組もうと、元気の出る旅だった。 




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