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女性差別を問う沖縄入会権訴訟
〈『部落解放』2006年4月号〉
先日、最高裁判所に弁論の傍聴に行った。
判決は三月に出されるので、この原稿が活字になるころには、判決が出されていることと思う。
どんなケースが争われているか、簡単に説明したい。沖縄の入会権について、男女不平等ではないかということが争われている。一審は女性たちが勝ったが、二審は女性たちが負けた。そして最高裁で弁論が開かれた。
沖縄本島の中央部に金武町があり、そこには、町の約六〇%を占めるキャンプハンセンなど広大な米軍基地がある。このなかに、明治時代から続く入会権がある山が含まれている。この山は、かつて住民たちが薪を取り、伐採をするなど、住民の生活の基盤として利用されてきた。
第二次世界大戦後、山が米軍基地のなかに取り込まれた結果、住民たちは山にはいることができなくなったが、軍用地として賃貸され、賃料収入を生むこととなった。
しかし、入会権を持つ団体の会員規定では、正会員、準会員ともに男性に限られている。したがって、一部の例外的な場合を除き、金銭を男性たちが分け合っている。このようなことがいままで数十年にわたって続いている。
金銭の分配だけではなく、二十一億円を超える資産の使途について、正会員にも準会員にもなれない女性たちは、何らの発言権も持たされていない。男性たちだけで使い方を決めているのである。
会則を見て驚いた。
原則として、会員を男性に限っている。 女性がなれるのは、非常に限定された場合だけである。女性は他部落のものと結婚しているということが言われたりするが、男性であれば、他部落のものと結婚していても会員となれるのであるから変である。しかも、女性は金武区域に居住しているのである。
どう考えても男ならOK、女はダメとしているのである。
これが許されるとなったら、いったいどんな男女不平等が違法となるのだろうか。 一審判決は、会則が会員を男性に限っている点は、無効であるとした。
ところが、二審は、次のようにした。
慣習により入会権者の資格が認められる必要がある。慣習として、入会権者は一家に一人、世帯主が入会権者になる慣習がある。世帯主に限ると入会権者が男性に限定されるが、現状の慣習は最大限尊重されるべきであり、また世間では家長は長男がなるのが通常だから、取り扱いに区別があっても公序良俗に反しない。
慣習をたてにとっているが、慣習以前に、会則が男性に限るとしている点がそもそも問題である。
勝手に「慣習」を決め、しかも女性差別の慣習をそのまま肯定しているのだから、何をか言わんやである。
そもそも「慣習」が差別ではないかを検討すべきなのである。
「慣習」をそのまま肯定するこの判決の態度そのものが問題である。
女性差別撤廃条約は、二条(d)で、「女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従って行動することを確保すること」を謳っている。さまざまな差別が、「慣行」のなかにひそみ、温存強化されてきたからこそ、「慣行」を疑え、見直せと言っているのである。
しかもこのケースは、「慣行」以前に、会則が明白に女性差別なのに、二審は、「慣行」を勝手に決めつけ、「慣行」によって差別を正当化していて、ほんとうに問題である。
このような差別をなくすために最高裁まで争わなければならないということに怒りを感じる。当日は、わざわざ沖縄から、訴えた女性たちが多く来ていた。
均等法に間接差別を盛り込むという法改正にしても、一歩一歩の歩みである。
「当たり前」を見直し、「現実」を変える力をもっと持ちたいものだと痛感する。
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