福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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拷問禁止委員会の勧告
〈『部落解放』2007年7月号〉

 

 私が国際人権にめざめたのは、一九八八年にジュネーブで国連規約人権委員会の日本の人権状況についての審査を傍聴してからである。日本の人権状況が国際人権規約に合致しているかどうか、実にシャープで真剣な議論が繰り広げられていた。限りなく新鮮であり、また、このような国際人権の世界の流れは、日本に必ず押し寄せてくると実感した。この審査は二回目で、一回目の資料を部落解放同盟にもらい、たいへんお世話になった。
 当時、国連に久保田洋さんが勤務されていて、いろんなアドバイスをいただいた。
 一九九八年に国連規約人権委員会が出した勧告は、日本の社会に大きな影響を与えてきたと思う。もちろん、勧告を実現しようと努力してきた人々やNGOの人たちの力が大きい。刑務所での革手錠の使用は廃止され、また一〇〇年ぶりに監獄法が改正された。
 女性差別撤廃委員会が出した勧告にもとづいて、マイノリティの女性たちがかかえる複合差別の問題についての当事者の人たちによる実態調査や政府との交渉も始まった。
 すべての勧告が実現できているわけではないけれど、少しずつボディーブローのように効いてきて、日本の国内の動き、国際的な連帯とあいまって、少しずつ改善されている面も歴然と存在している。
 日本が批准している拷問禁止条約にもとづいて、五月九日、一〇日に、日本政府報告書の第一回の審査が行われた。そして、五月一八日付で、最終報告と勧告が発表された。
 日本に対して厳しく改革を求めているものである。日本の状況は、国際水準に合致しないと厳しく指摘されたといえる。代用監獄とそこで行われる取り調べの問題がとくに指摘された。
 国連で、痴漢のえん罪を描いた「それでもボクはやってない」の映画が上映され、日本の有罪率が九九%を超えることなどについて非常に驚かれたと聞いている。
 いま、富山のえん罪事件、鹿児島の志布志事件が大きな社会問題となり、また、大阪で三人の女性が殺された事件は無罪となった。自白強要や見込み捜査の問題は大きく広がっている。袴田さんの再審請求や、みなさんから大きく応援していただいている狭山事件の再審請求もいま大きく広がっていくチャンスである。
 代用監獄とは、逮捕された人が、拘置所ではなく警察留置所に勾留されている問題で、結局、身柄を管理する人と取り調べる人が一体となり、取り調べ時間が長くなったり、取り調べを受ける側からすれば、自白をしなければという精神状態に追いつめられるということが指摘されている。
 狭山事件の学習会などでも指摘されているが、石川さんがなぜ虚偽の自白をせざるをえなかったかということも、この代用監獄の問題の存在とも関係がある。
 このような代用監獄については、今回あらためて問題点を指摘されている。
 未決拘禁における警察留置所の使用を制限するように刑事被収容者処遇法の改正をするよう求められている。
 そして、優先事項として、法を改正して捜査と拘禁を完全に分離すること、国際基準に適合するよう警察拘禁期間の上限を設定すること、逮捕直後からの弁護権や弁護士の取り調べ立ち会いを保障すること、起訴後の証拠開示をすること、十分な医療を保障すること、留置施設視察委員会には、弁護士会の推薦する弁護士を任命すること、被留置者からの不服申し立てを審査するため公安委員会から独立した効果的制度を構築すること、防声具の使用の廃止、録画などの記録は刑事裁判において利用できるものとすべきこと、つまり捜査の可視化をすべきことが提言されている。
 難民や入管制度の問題、死刑制度、いわゆる従軍慰安婦の問題などについても指摘を受けている。
 これらの切実な勧告を生かして、具体的な制度改革、法改革を行うことが、私たち日本国民に課せられている。




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