福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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薬害肝炎の究明と救済を
〈『部落解放』2007年12月号〉

 

 薬害肝炎の被害者の人たちの話を聞いてきた。女性が多かった。私と同じ年くらいの人たちも多かった。出産するときに止血剤を使われ、ずーっと後になって肝炎を発症する。被害者にとっては、選択の余地はまったくなかったのである。
 二〇代の被害者の女性からメールをもらったことがある。「スポーツが大好きで、いろんな夢をもっていました。いまは、結婚、出産ということもなかなか考えられず、体が辛くなると横になり、闘病で精いっぱいです。辛かったけれど、私の後ろに多くの人たちがいるのだから、その人たちのためにも裁判をがんばろうと思います」といった趣旨のメールだった。
 国会のなかで、一三、四回ほど肝炎について質問をしてきた。質問をしながら、HIVの薬害の問題とまったく一緒だと痛感した。
 たとえば、一九八七年の一月から三月に集団感染が起きる。厚生省には、三月二四日に、青森県の診療所からフィブリノーゲン製剤を投与した患者について肝炎が集団発生したという報告が寄せられる。厚生省は、四月八日にミドリ十字社から報告を受けている。
 厚生労働省の地下倉庫から最近、報告書が出てきた。旧ミドリ十字長野県松本支店からの報告書で、一九八七年一〇月から一二月にかけてのものであり、メーカーとしての良心と責任を考えよという医師からの直言も存在している。
 報告が上がっているのだから、この時点できちんと対応していれば、まったく違う状況になっていただろう。厚生労働省が知りながら「放置」してきたことは、ほんとうに問題である。「国家による殺人」とさえ、言えるのではないか。
 二〇〇二年以降、裁判が提訴され、裁判でも厚生労働省に落ち度があったことが断罪されている。国会で追及もされてきた。しかし、「資料隠し」や「隠蔽」がされてきたのである。
 「赤福」は、でたらめな食品管理とウソで、営業禁止に追い込まれた。「資料隠し」をして、ウソをついてきた防衛省や厚生労働省だって、「営業停止」と言われてもいいくらいだとさえ思う(実際は、できないけれども)。「赤福」だって問題だけれども、問題の大きさは、防衛省や厚生労働省のほうがはるかに大きい。
 薬害肝炎について、事実究明や被害者の救済が必要である。  そして、私はつくづく思うけれど、もうこれ以上、厚生労働委員会で薬害の問題を議論したくないということである。どうやったら薬害を根絶できるかということである。
 ある被害者の人がこう言った。「製薬会社は、どちらに転んでも損をしないようにできている。薬を売る。そして、薬害が出たら、それに対応する薬をまた患者に売る」と。
 もちろん良心的な会社もある。しかし、「命」の問題について、根本的な改革が必要である。
 マンガであり、映画にもなっている「Vフォーバンデッタ」も映画「ナイロビの蜂」も、製薬会社の陰謀と暗躍が一つのテーマになっている。つまり、新しい病気をつくり、治療のための薬をつくるということである。「病気」で人々の恐怖をあおり、人々の命を製薬会社が「人質」にとっているという構図が描かれている。だれだって病気になるし、だれだって命が大事である。その「命」を操る巨大製薬会社というわけである。映画の見過ぎと言われればその通りだが、「病気になる」ということは、人生そのものを左右することだから、薬害などにとことんメスを入れていくことは必要である。
 最近一年間に厚生労働省から製薬会社に天下りをした人は七人。週刊誌に、二九〇〇万円の副業をしていた公務員の医師の人が載っていた。が、厚生労働省における政・官・業の癒着は深い。天下りをなくすことは、厚生労働省と製薬会社などとの癒着をなくし、薬害をなくすことに必ずつながると思う。厚生労働省こそ、製薬会社や薬害にメスを入れるべきである。




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