福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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DV防止法の改正
〈『部落解放』2008年1月号〉

 

 DV防止法の二度目の改正が行われた。二〇〇七年七月一一日に公布、六カ月後の二〇〇八年一月一一日から施行される。
 私自身、そもそもDV防止法をつくるときから参議院の共生社会に関する調査会でかかわってきた。超党派の議員立法だけれども、議員立法というよりも「市民立法」「女性立法」として、実に多くの当事者の女性たち、NGOの女性たちとつくったという思いが強い。そして、私自身、「HELP」というシェルターの協力弁護士として、DVの問題にとりくんできた思いも込めてある。
 DV防止法は、そもそも保護命令というまったく新しい制度を導入したこと、各都道府県に、DV防止センターを設けることになったことなど、新しい制度をつくったことに意義がある。そして、法律で初めて、国のNGOに対する財政的援助の条文を入れ、また、国籍や障害などの有無を問わず人権は尊重されるべきであるとのマイノリティの女性への配慮を明記する条文を初めて入れた。
 このDV防止法は、一度目の改正のときに、保護命令を拡充して、たとえば、一定の要件を満たせば子どもに対しても接近禁止命令が出せる、退去命令が二カ月に延びる、など改正された。
 そして、今回の二度目の改正でもかなり前進をした。
 まず、第一に、やはりなんといっても保護命令の拡充である。暴力を受けていなくても、生命・身体に対する脅迫を受けた被害者も保護命令の申し立てができるようになった。また、被害者の申し立てにより、裁判所は、被害者への接近禁止命令とあわせて、配偶者に対して、被害者に夜間に電話・電子メール・ファクスをしたり、連続して電話・メール・ファクスをしたり、面会の要求をしたり、行動の監視に関する事項を告げたり、著しく粗野・乱暴な言動などをすることを禁止することができるようになった。また、子どもだけでなく、親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者の同意が得られた場合は、その身辺へのつきまといと、住居・勤務先その他通常所在する場所の付近の徘徊を禁止することができるようになった。親族や被害者をサポートする支援者などがつきまとわれる被害が発生したりするからである。
 また、都道府県のみに義務づけられていた配偶者からの暴力についての基本計画の策定が、市町村の努力義務となった。
 さらに、市町村の適切な施設において、DV防止センターとしての機能を果たすようにすることが、市町村の努力義務となった。
 このように二回の改正で、「宿題」となっていたことがだいぶ解決したともいえる。
 ところで、二〇〇七年も、シェルターのシンポジウムが開かれた。二〇〇七年は、DV根絶国際フォーラムとして、韓国、中国、香港、モンゴルから、それぞれDVにとりくむ女性が参加をし、各国における取り組みと課題を発表してくれた。韓国もモンゴルもDVについての法律をつくり、香港も条例をもっている。中国の女性も帰国後、ぜひ法律をつくりたいと意気込んでいた。
 どの国も(これはアメリカもイギリスもヨーロッパの多くの国もそうだが)、法律があってもなかなかDVを根絶できないどころかひどいケースが続くという悩みをかかえている。
 私自身もメールでよく相談を受けるし、DVは増えこそすれ減っていっているという実感はない。女性の貧困問題の解決や就労支援、そして、女性を男性の下に見る考え方など、男女不平等の根本を打ち砕かないかぎり、根本的な問題解決にならないことも痛感している。
 そして、外国人の女性の課題があり、また、警察を含め現場の公務員の人たちへの研修ももっともっと必要である。さらに、なんといっても必要なのが、NGOに対する支援である。「ステップハウス」という、次のステップを踏み出すための居場所をつくっているNGOやそれぞれのシェルターが財政難であえいでいる。財政難のため閉鎖してしまったNGOもある。これは立法の不備だが、もっともっと国や自治体がNGOを支援する仕組みをつくらなければ、結局、受け皿がなくなっていく。
 次の改正でもみんなとともにがんばりたいものである。




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