福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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外国人との共生
〈『部落解放』2008年4月号〉

 

 今回は、外国人との共生について書きたい。
 静岡県と愛知県の学校と工場などを見学してきた。参議院の少子高齢化・共生社会に関する調査会としての視察である。
 一九九〇年に出入国管理法を改正して、日系人については、例外的に在留資格を認めた。その結果、日系ブラジル人などの人たちが数多く入国し、働いている。
 たとえば、静岡県浜松市は、人口八二万四〇〇〇人、うち外国人登録者は三万三二七二人、ブラジル人は一万九四七三人。日本でいちばんブラジル人が多いまちである。
 今回、三つの学校を訪れた。
 浜松市内の学校法人「ムンド・デ・アレグリア学校」である。「喜びの世界」という意味で、ペルー人を主体とした学校である。ムンド校は一一二人の生徒で、教師数は一四人である。行政の補助金の要望や特定公益増進法人の認定を受け入れるようにしてほしいなどの要望を受けた。
 松本校長は、無給で働いていて、空き教室や空き学校を使わせてほしいと思っているが、うまくいかないと怒っておられた。
 次に訪れたのが、愛知県豊橋市の学校法人「カンティーニョ学園」である。この学校は認可されている。給食があり、送り迎えがあり、認可され、補助を受けている分、認可されていない学校とは差があるというのが率直な感想である。
 そして、同じく豊橋市の岩田小学校。地元の公立小学校である。日本の生活に慣れない子どもがまずはいるクラスや日系ブラジル人の子どものためのクラスもあった。そして、日本人とブラジル人の子どもたちが普通に交じって一緒に勉強しているクラスなどを見学した。六年生のあるクラスは授業で、ブラジルと日本の間の貿易をやっていた。
 はじめの二つの学校は、スペイン語やポルトガル語がきちんとできるようにし、日本語も教えているという学校である。「カンティーニョ学園」ではなんとブラジルから直接教材を取り寄せ、それを使って授業をしていた。
 岩田小学校では、先生方が苦労して日本語を教えていた。
 三つの学校に共通していたのは、子どもたちの笑顔と先生たちの頭の下がる熱心さであった。
 同時に、悩みもあることはよーくわかった。
 まず、子どもたちが二つの言語を理解し、しゃべれるようになるのが大変である。何歳で日本に来たかも大きい。親が母国に帰ることを考えて母国語で会話していたが、帰らなくなるかもしれないし、日本語だけをマスターすると、日本語を話せない親とのコミュニケーションがとれなくなったりする。また、日本人と同じように公立学校で勉強して、日本語ができるようになっても、日本の社会のなかには差別がある。母国語が不十分なまま母国に帰ることにもなりかねない。
 企業でも当事者の外国人の人たちとも話をした。YAMAHAは、正社員の人もいたし、派遣の人もいた。年金の不安などを話してくれた。直接、当事者の人たちと話ができる企業は「いい企業」なのではないだろうか。
 統計上は、外国人は、派遣などの非正規雇用で雇用され、労働条件には明確に差がある。月給が二〇万円のなかで、子どもの授業料三万五〇〇〇円くらいを払うのは大変なことなのに、子どもを学校に通わせているのである。
 安い労働力を確保するために入管法を改正したが、その後に発生する問題は、後手後手にまわっている。「人間」は生きているから、単なる労働力とはなりえない。恋愛をし、結婚をしたり、子どもが産まれたりする。あるいは、子どもや家族と一緒にやってくる。労災もあれば、病気にもなる。
 子どもがいれば、とくに教育が大事となる。
 子どもたちの教育にもっと手やお金をかけなければ、子どもたちの未来が壊されていってしまう。ここまで考えて、入管法を改正したのだろうか。人権上の問題もある。
 いままでも他の民族学校が苦しんでいるということで、交渉をしつづけてきたことも思い出した。多元的な社会をつくるために、文部科学省は、もう一歩、二歩、足を踏み出すべきである。




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