福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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社会主義インターと市民サミット
〈『部落解放』2008年9月号〉

 

 七月上旬、ギリシャへ行ってきた。社会民主主義の可能性を確認しに行ってきた。五年ぶりに社会主義インターの世界大会が開かれたからである。世界中から社会民主主義の政党が一五〇以上、全体では約七〇〇人が出席した。
 ヨーロッパでは、多くが政権党か、政権を担ってきた政党である。イギリス労働党、スペイン社会労働党、ドイツ社民党、ノルウェー労働党などは政権党であり、中南米、アフリカの多くも社民党政権である。ニュージーランド労働党もオーストラリア労働党も政権党である。
 ここでの議題は主に四つ。@気候変動についての行動、A平和な世界のための活動、B新たな世界経済の達成、C地球規模の食糧危機などであった。アメリカ的な新自由主義一極支配でない社会をどうつくっていくか熱い演説と議論が続いた。
 私自身も平和と人権についてスピーチをした。
 そして、@気候変動、A南北問題・貧困問題・食糧の危機、B平和の三つがまさに連関しているということを強く意識することができた大会だった。こんなことは当たり前すぎるほど当たり前のことだけれど。
 ハイチの社民党の人の次のようなスピーチは強く心に残った。「気候変動の結果、天災が起こりやすくなり、天災の結果、収穫高がゼロになった。種も食べてしまった。種を買おうにもお金がなくて栄養状態が悪くなっている」
 G8サミットが行われたけれど、だれが気候変動を起こしているのかと私は言いたくなる。気候変動は、南北格差をより広げているし、まさに食糧の危機を生んでいる。気候変動は、貧しい所により重くのしかかっている。考えてみれば、これは日本の国内にも当てはまる。
 そして、平和の問題であるが、中東和平についての議論が多くを占めた。パレスチナ自治政府からアッバース大統領(PLO議長)、イスラエルからはバラク労働党党首、そしてイラク国内のクルド自治政府のタラバニ大統領も出席した。パレスチナ問題は戦争によるのではなく平和的に解決し、平和的に共存しなければならないという主張では、一致するところが少しずつ増えているものの、もちろん解決は容易ではない。
 印象的だったのは、気候変動や貧困、食糧問題などは待ったなしであり、紛争や戦争をしている場合ではないという意見が繰り返し繰り返し語られたことだった。あらゆるものの前提が平和であるという確認がされた。クルド人の政党やビルマの国民民主連盟(NLD)の人などから人権問題について話しかけられたり、あらためて協力を求められた。
 資源や水、食糧の奪い合いから紛争や戦争が起きている例も多い。格差や貧困問題の解決、公正な社会をどうつくるか、トービン税など投機的資金に税金をかけるべきではないかという議論が繰り広げられた。
 ちなみに、アヤラ事務局長の報告書で、憲法九条を支える日本の努力を支持することがあらためて確認されたことはうれしいことだった。
 ギリシャから成田経由で北海道へ。
 市民サミットに出席するためである。
 ピースウォーク集会、女性と人権集会、G8サミットを問う集会、先住民族サミットの集会、自然エネルギー促進のサミットなどに出席した。先住民族のサミットでは、アイヌの人たちの力強い歌や踊りやスピーチにこちらも解放され、勇気づけられた。
 ところで、本体のG8のほうはどうだろうか。
 二〇五〇年に世界でCO2を半減するよう国連で提案するという提言の内容にほんとうにガッカリした。ハイチの人の「種も食べてしまった。生きていけない」という叫びとの落差はいったい何なのだろう。気候変動も食糧の危機も貧困問題も待ったなしなのに。四二年後にG8の指導者の何人が生きているだろうか。政治の責任をとろうとしているのだろうか。
 ところで、もっともCO2を出している役所はどこでしょう。答えは、自衛隊。三五七万トン。第二が国土交通省で八二万トン。自衛隊の四分の一である。CO2削減というのであれば、まず、軍縮をすることである。CO2はほんとうに減る。ここでも気候変動と平和はつながっている。私たちは世界を変えていくことができるし、変えなくてはと確信した二つの大きな会議だった。




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