福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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企業・団体献金の禁止を
〈『部落解放』2009年5月号〉

 

 国会はいま、政治と金で大揺れである。
 刑事事件は刑事事件として、推移を見守るしかない。しかし、重要なことは、政治と金の問題を断ち切るように国会が全力を挙げなければならないということである。政党支部であれば、巨額の企業献金を受けつづけていいのだろうか。自民党は、九三億円の企業・団体献金を受け、政党助成金も一五三億円とダントツに受け取っている。企業・団体献金は、禁止すべきではないだろうか。
 九三年に当時の社会党は、企業・団体献金は禁止すべきだという法案を提出し、論陣を張っている。政党助成金を政党に交付するのであるから、企業・団体献金は廃止すべきだと主張している。二〇〇二年には、民主党、社民党、自由党、共産党で、公共事業を受注する企業からは献金を受けるべきではないという法案を提出している。自民党は、「役所に鉛筆を納入している業者からももらってはいけないということか」と反対し、この法案は成立しなかった。
 しかし、いまこそ、法律を作り、政治を変えるべきである。
 国会にいて、政治が一部のものによって牛耳られ、主権者である国民のものになっていないことをたびたび痛感する。
 たとえば、財界や規制改革会議などは、一貫して、労働法制の規制緩和を提唱してきた。そのことが、国会における労働法制の規制緩和に見事に直結してきた。二〇〇三年に労働者派遣法を改悪し、製造業についても派遣を可能にするということにした。大企業は、そして経団連は企業献金をし、政府・与党はその要請を実現し、それによって、大企業は空前の利益をあげることが可能になり、不況になれば「派遣切り」ができるのである。
 政治が、巨額の企業献金をする大企業の利害を最優先してきて、働く人たちを切り捨ててきたといえるのではないだろうか。いまの政治が、一握りの人たちのためになされてきたと強く思う。
 また、国会にいて議論をし、あるいは全国をまわると、巨大ダムや埋め立て、沖縄の辺野古の沖の米軍のための海上基地など、大規模公共事業のムダや不合理性をつくづく感じる。地元の人たちの多くの反対を押し切って、環境を破壊し、莫大な税金を使い、しかも完成に何十年もかかるなんていうのはザラである。
 公共事業のための公共事業。大規模な公共事業を受注したい大企業が多額の企業献金を政治家に行い、仕事をとっていく。その公共事業の必要性、計画の合理性、予算として適切か、全体のなかでの予算の使い道として公平かということは、二の次、三の次である。税金が、企業献金として、政治家に環流していく。公共事業が、きわめてゆがめられた形で行われていく。結局、政策が、ゆがめられていくのである。
 政治が行う政策は、できるだけ公平・公正・合理的に行われるべきであり、透明性を高めるべきである。そのためには、多くの人のさまざまな意見が反映されるべきであり、一部の人の意見のみでなされてはダメなのである。
 自民党では、半分以上が二世・三世議員であり、閣僚のなかでの比率はもっと高い。総理大臣も歴代、二世・三世議員が続いている。政治家のまわりに利権構造ができ、むらがる人ができてくる。その「利権構造」を、本人が亡くなっても子どもが「相続」していく。おかしな話である。
 間違いなく、主権者は国民であり、政治は国民のものである。一部の者たちのための政治がこんなに続いていいわけがない。巨額の献金などできない多くの国民の一人ひとりが切り捨てられる政策がこんなに続いて、いいことなど何もない。オバマ大統領は、大統領就任演説で「富める者ばかりを優遇する国家は長続きしない」と言った。私は、オバマ大統領のアフガン政策には反対だが、この部分はそのとおりだと思う。
 新しい社会は、新しい仕組みでつくらなければならない。政治と金の関係を断ち切っていかなければならない。
 企業・団体献金の禁止までがんばりたいものである。




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