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国民投票法リーフレット
〈『部落解放』2009年6月号〉
手元に緑色のリーフレットがある。
表紙にこう書いてある。
『ご存知ですか? 平成二二年五月一八日から「憲法改正国民投票法」が施行されます。』
発行しているのは、総務省。
実は、去年の予算で、このリーフレットが五〇〇万部作られた。三月末に成立した今年度予算では、新たに三〇〇万部作られる予定である。びっくりである。いつの間にこんなことが着々と進んでいるのか。
うちの親などは、これをパッと見ると、「そうか、裁判員制度も始まるし、来年は国民投票が行われるのか」と勘違いをしてしまうのではないだろうか。
ある集会でこのリーフレットの話をしたら、「私は熊本から来たけれど、町内会の回覧板に、このリーフレットが挟み込まれていました」と発言した女性がいたっけ。
憲法改正国民投票法は、たしかに二〇一〇年五月一八日から施行される。この法律が成立したときに、三年後に施行ということが盛り込まれていた。しかし、こんなリーフレットを八〇〇万部ばらまくというのは違うと思う。
だいたい、国民投票をするためには、衆議院と参議院の両方に設置されている憲法審査会において、憲法改正案づくりをし、衆議院と参議院の本会議において、総議員の三分の二以上の賛成で可決をして、憲法改正の発議があってはじめて国民投票となるのである。憲法改正の発議がされなければ、そもそも国民投票などされないのである。されないかもしれない国民投票のキャンペーンを、なぜ八〇〇万部もリーフレットを配ってしなければならないのか。まったくムダになるかもしれないのである。国会のなかでは、憲法審査会は、まったく動いていない。
今年度予算には、改憲国民投票実施にむけた予算が四六億九〇〇〇万円、しっかり計上されている。昨年は七二〇〇万円だから、大幅のアップである。リーフレットはここから作られているのだが、今年の四六億九〇〇〇万円のうち大部分は、投票人名簿を調製する情報システムを構築するための市町村への交付金である。周知する費用は二三〇〇万円、投票・開票における速報体制の整備に要する経費は一七〇〇万円だから、四六億円ほどが、システム構築のための市町村への交付金である。
一八歳以上の人に投票してもらうのか、二〇歳以上の人に投票してもらうのかさえまだ何も決まっていないのに、なぜシステム構築をそれほど急ぐのか。そんなに急いで、なぜ「国民投票」か!
やらせタウンミーティングが問題になったけれど、国民投票をやるのだというキャンペーンがどんどん、じわじわされているのではないか。国会で何も議論がされていないのに、なぜ国民投票をすることを前提に、要領よくシステム構築か。
いま、国民の関心も政治の重要なテーマも、雇用や社会保障などのことである。しかし、憲法や平和のことも、実は非常に大事なテーマだと思う。油断していると、政府は着々と進めていっている。
まず、ソマリア沖に自衛隊が、何の新たな立法もなく、国会の承認も同意もなくして、派兵された。国会が関与していないということは、国民が関与をしていないということである。海賊新法案が国会で審議中であるが、既成事実をつくってまず自衛隊を出すということに、たいへん危機感をもっている。政府は、「海賊をつかまえて、日本で裁判にかける」と言うが、そんなことができるのか。日本の裁判で公平に裁けるのかと思う。
いわゆるグアム移転協定も批准について審議中である。グアム移転協定というが、私は、米軍基地再編強化協定と言ったほうがいいと考える。なぜ、外国の土地に外国の基地を造るのに、日本の税金を莫大に使うのか。「沖縄の基地負担軽減」と言いながら、なぜ沖縄の美しい海を埋め立てて、新基地を造るのか。
核軍縮の動きなど励まされる動きもあるが、平和の実現、憲法改悪をさせない運動も、もっともっと広げたいものだ。
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