福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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ハーヴェイ・ミルクに励まされ
〈『部落解放』2009年9月号〉

 

 一九八八年ごろ、「ハーヴェイ・ミルク」のドキュメンタリーを見た。
 ハーヴェイ・ミルクは、サンフランシスコの市政執行委員。アメリカで初めて、ゲイであることをカミングアウトして立候補し、当選。現職のときに射殺される。このドキュメンタリーを見て、殺されるほどの差別や生きにくさにショックを受けた。
 その後、私は、NGOの活動の支援や、同性愛をカミングアウトしたイラン人であるシェイダさんの難民認定や特別在留許可を求める運動への支援などをやってきた。
 国会で、性同一性障害の人が戸籍上性別を変更できる法律が、超党派で成立し、改正も行われた。しかし、同性愛の人たちの問題については、NGOはがんばっているが、国会での取り組みは、ようやく始まったばかりである。
 先日、映画議員連盟が主催して、憲政記念館で映画「ミルク」上映会が行われた。主演はショーン・ペン。私は、自由を求めて困難ななか闘うミルクの姿に心打たれた。また、当たり前だが、ミルクのまわりに一緒に活動し、行動する人たちがいるのである。
 二つの映画のなかに、悩んでミルクに電話をしてくる一〇代の若者が出てくる。そして、「ありがとう」とミルクに言うのである。自分自身のアイデンティティと社会のあいだで悩み、どうしていいかわからず絶望して自殺を考えたが、自殺をやめたという電話である。日本のなかにも自殺をはかったり、悩んだりしている人は、実に多いと思う。
 ところで、少しずつ進んではいる。
 二〇〇八年六月、国連人権理事会における日本審査において提示された勧告に対する日本政府の回答は、次のようなものである。「勧告をフォローアップすることを受け入れる」として、たとえば、人権機関を設置すること、マイノリティに属する女性が直面する問題に取り組むこと、性的指向および性自認にもとづく差別を撤廃するための措置を取ることなどをあげている。
 二〇〇八年一〇月三〇日、国連の規約人権委員会が出した勧告のなかには、しっかり性的マイノリティへの差別に取り組むよう求めることがはいっている。公営住宅の利用者が異性カップルに限られていること、DV法が同性カップルには適用されないことなど、雇用、住居、社会保障、保健、教育その他の領域におけるレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーに対する法的差別について懸念を表明し、性的指向にもとづく差別を禁止し、婚姻していない同性カップルが異性カップルと同等の権利を受けられるよう保障することを求めている。
 世界各国の制度をみんなと勉強してきた。EU(欧州連合)のなかでも、民法改正により、同性婚を認める国は、オランダ、ベルギー、スペイン、同性のみの登録パートナーシップ制度を認める国は、デンマーク、スウェーデン、スペインの一部の州、ドイツ、フィンランド、イギリス、スロベニア、チェコであり、異性も利用できる登録パートナーシップ制度を認める国も多い。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなども進んでいる。
 電話相談を受ける人や、教育者の人たちなどに対する人権啓発研修をする必要があるし、ホットラインの充実なども必要である。諸外国の取り組みのなかでも、学校などにおける同性愛の人たちへのいじめをどうなくしていくかという取り組みは、日本でもなされるべきである。
 先日、世界で初めて、オランダで同性婚を認めさせた元議員の活動家にお会いした。ステキな人。
 アイスランドで、同性愛をカミングアウトしている女性が首相になったとき、私は大使館に行った。大使は「個人的なことで、業績にまったく関係ない」という態度。
 日本でも少しずつ変えていきたい。




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