福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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働きながら子育てができるように
〈『部落解放』2010年1月号〉

 

 大臣として少子化と男女共同参画の二つを担当していると、両方はほんとうにつながっていることを痛感する。また、ワーク・ライフ・バランスのテーマも担当している。
 日本の女性は、働いている女性の七割が、出産や育児で仕事を辞める。そのため、女性の労働力率は、ヨーロッパは台形だが、日本は依然としてM字型雇用である。いったん仕事を辞めて再就職をするときは、労働条件が悪くなっている。ひとり親家庭の貧困率は五四・三%。母子家庭の就労年収は一七〇万円台。児童扶養手当を入れて、年収が二二〇万円台でしかない。
 ここで浮かび上がってくるものは何か。
 日本では、多くの女性が、当たり前に働いて、当たり前に子どもを食べさせるだけの賃金を得ることが困難なのである。もちろん、男性の貧困の問題もある。高齢のシングルの男性の貧困も問題である。しかし、すべての年代で女性の貧困率は男性を上回っている。
 日本のGEM(ジェンダー・エンパワメント指数)は、世界で五七位である。「えっ、そんなに低いの?」というのが、多くの人の感想ではないだろうか。国会議員の女性の比率も、管理職の女性の割合も、女性の賃金も低いのである。
 私は、M字型雇用を何とか台形にしようとしている。子どもを産み育てることが大きな負担となり、女性たちは労働市場から排除されてしまう。このことを変えるために、子どもを応援していくこと、子育てを支援していくことが必要である。子ども手当の創設と保育所や学童クラブの充実、そして、育休・介護休業をとりやすくして、パパ・クオータ制などで、男性の取得率も上げ、企業の意識変革も推進していく。
 子どもを産み育てることが、ものすごい負担だけにならないようにし、働きつづけることができるようにしていく必要がある。個人や家族を支える社会の仕組みがあってはじめて、そして、将来への安心感があってはじめて、人はホッとして、ゆったりとして、子どもを産もうと思えるのではないだろうか。
 一人の男性だけが稼ぎ手で、「大黒柱」で、妻と子どもを養うという家族の形態もどんどん減っている。いま年収二〇〇万円以下が一〇〇〇万人をこえ、働く世帯の約五分の一が年収二〇〇万円以下である。この収入を上げていくことが必要であり、また、女性が働くことを支援していかなければ、家族ももたないのである。
 でもこの文章を書きながら、時代の大きな変化と、しかし、にもかかわらず多くの人の大変さと苦労を思わずにはいられない。私は、二〇歳のころ、「子どもを産み育てて、しかも働きつづけたい」と言ったら、同級生の男の子に「欲張りだなあ」と言われた。まったく悪気はないのである。しかし、こんなことが「欲張り」だろうか。
 小学生になる娘を学童クラブに入れたくて(ないと不安です)、マンションを引っ越したり、大あわてで職場から子どもを迎えに帰ったり、子どもが熱を出すと、裁判をどうしようかと大いに悩み、中学生の娘のお弁当を毎朝作りながら、国会に通った。国会を抜け出して子どもの卒業式に出て、また、国会に戻ってきたりした。弁護士だから、自営業で恵まれていたことはあるけれど、やっぱり綱渡りの日々だった。企業で、まわりに気を使いながら子育てをする人たちの苦労は、大変である。
 社会を大きく変えなければならない。少子化対策と男女共同参画は、車の両輪である。
 また、当たり前だが、男性も含めた働き方、労働法制の規制強化は、いままさにしなければならないことである。小泉政権下で、労働者派遣法を改悪し、製造業についても派遣を可能とした。その後の「派遣切り」の実態はすさまじいものであった。政治が行ったことは、政治で変えていかなくてはならない。三党連立の政策合意で、労働者派遣法の抜本的改正案を成立させることを決めた。製造業については原則禁止、登録型派遣についても原則禁止としている。いま審議会で審議中であり、閣法として国会に出す予定である。「貧困」をなくすために、労働法制の規制強化をやっていこうと呼びかけたい。




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