福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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辺野古に基地は造らせない
〈『部落解放』2010年2月号〉

 

 先日、あらためて沖縄の辺野古の海と普天間基地を訪れた。
 辺野古では「このきれいな海を守りたい」とあらためて思った。きれいな海に、一〇トントラックで五〇〇万台以上ともいわれる砂利を入れ、珊瑚礁の海をつぶして、巨大な海上基地を造ってはいけないとあらためて思う。新たな海上基地を造ることが、三党連立合意である「沖縄県民の負担軽減」になるとはとうてい思えない。
 ここでは、沖縄ジュゴン米国訴訟をとくに紹介したい。
 二〇〇三年九月に提訴され、二〇〇八年一月にサンフランシスコ連邦地裁で判決(第一回)が出て、現在、同地裁が第二回判決を準備中である。この裁判は、辺野古・大浦湾での米軍施設建設計画について、天然記念物であるジュゴンの生息域への基地建設が米国文化財保護法(NHPA)に違反するという理由で、計画の中止・変更を求めたものである。第一回判決は、被告(米国防総省)に対し、NHPAの必須条件の遵守を怠ったとして、NHPAの遵守を命じた。基地建設計画の違法性を認定したという点で、まさに画期的なものである。
 私は、この裁判と判決のことを多くの人に知ってもらいたいと思う。
 ところで、普天間基地の移設先については、三党首会談で、三党で協議し対応することを確認した。内閣のなかでも、移設先についてとりくんでいく。このことについて「先送り」と報道されることがある。しかし、そうだろうか。「再検討」し、真の解決をしていくことだと考えている。
 沖縄の辺野古の海には、この一三年間、杭一本打つことができなかった。なぜか。多くの人々が望んでいないからである。沖縄県民の七割から八割の人たちが、普天間基地の「県外・国外移設」を望んでいる。辺野古では、おじい、おばあたちに「みずほさん、あなたに託しているからね」と言われた。このおじい、おばあたちは、海を心から愛し、海をつぶすことに命をかけて反対している。地上戦があり、戦後の悲惨な状況があり、戦後すぐに米軍の基地建設がはじまり、小さな島に日本の米軍基地の七五%が集中している。「これ以上の沖縄県民の負担は嫌なのだ」という叫びは、過去からの歴史の積み重ねの上での叫びなのだということをあらためて痛感する。
 日米両政府が、辺野古沖に海上基地を造ることを「強行」しようとすれば、大変なことになるだろうし、人々がこんなに反対しているかぎり、造れない。つまり、普天間基地の移設先を辺野古の沿岸部としているかぎり、絶対に問題は解決せず、普天間基地の「固定化」が起きるのである。
 したがって、移設先をさがして問題を解決しようとすることは、「先送り」ではなく、真に問題を解決することだと考える。
 これは実は、沖縄の問題というだけにとどまらず、基地の問題をどう解決していくのか、日本全体に問われている問題である。
 そして、そんななかで私は、多くの人と運動をし、辺野古の沿岸部に海上基地を造らせず、「県外・国外移設」を実現していきたい。個人的には、アメリカはそもそも海兵隊のグアム移転を言っていたのであるから、グアム移転の可能性をもっとも追求したいと考えている。
 私は最近、つくづく民主主義ということを考えている。政権が変わった。これは、政権を変えてくれという人々の意思である。いままでの日米合意も、民主主義を経て日米両政府でしっかり再検討すべきではないだろうか。
 問題をきちんと解決するためには、多くのエネルギーがいる。しかし、問題をきちんと解決するという決意をし、努力をしないかぎり、解決しない。このまま普天間基地を固定化するか、辺野古沖の計画を無理やり「強行」することは、問題をさらに深刻化させるだろう。
 問題は一つひとつ解決するしかない。
 問題を共有し、内閣のなかで、そして、現場やできるかぎり多くの人々と力を振り絞り、問題を解決していきたい。辺野古の沿岸部に巨大な海上基地を造らせないために力を貸してください。




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