福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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フランスの子育て支援
〈『部落解放』2010年3月号〉

 

 先日、フランスとベルギーを訪れた。ベルギーでは、EU(欧州連合)本部に行った。少子化対策、男女共同参画、消費者政策を視察するためである。
 以前、『パリの女は産んでいる』(中島さおり著、ポプラ社刊)という本を読んだことがあるが、なるほど子育て環境について努力している。家族的保育所と集団的保育所の両方を視察した。フランスは、保育ママさんに力を入れている。二人、三人、四人と子どもを預かる保育ママさんたちが、一日のうち二時間、三時間など保育園に連れてきて、少人数で交流し、歌を歌ったり、みんなで絵を描いたりしている。保育ママさんたちの研修もしているし、交流もそこでしているので、保育ママさんたちの孤立や悩みも解消できる。驚いたのは、夏は三週間のバカンスをそこの保育所のみんながとっていることである。ゆったりした時間が流れている。
 子ども手当と保育所などのための予算には、「全国家族手当金庫」がある。予算規模は約七兆円である。日本の人口比でいくと一〇兆円規模となる。日本では、いま、三歳未満の子どもが保育にお世話になっている割合は二五%、フランスでは四〇%である。この背景には、国の政策とこの子ども基金がある。日本も五年後には、この二五%を三五%に上げようとしている。子育てをしっかり応援するという政策が功を奏して、いま、フランスの出生率は二・〇二である。日本は一・三七。私は、出生率が低いことが問題なのではなく、出生率が低くならざるを得ないことが問題だと思う。一つの解決策は、子育て支援であり、当たり前だが、保育所や学童クラブなどの充実である。
 もう一つ、スウェーデンやフランスと日本が非常に違う点がある。スウェーデンやフランスでは、約半数が婚外子(両親が結婚届を出さないで生まれた子ども)である。スウェーデンにはサンボ法があり、フランスにはパックス法がある。事実婚(結婚届を出さない関係)も法律婚(結婚届を出した関係)に準じて扱おうというものである。他の国にもある。婚外子に対する差別は撤廃されている。日本では「できちゃった結婚」は増えているが、他方、結婚できない、あるいはしないという場合は、結婚届を出さないで子どもを産むケースはまだまだ少数である。日本では、婚外子の出生率はわずか二%である。婚外子になる場合は、中絶率が高いというデータを見たことがある。婚外子に対する差別がなくなれば、もっと社会がさまざまな生き方に対して寛容になれば、子どもを産みたいという女性はもっと増えるのではないだろうか。
 雇用・少子化・男女共同参画担当のダルコス大臣とも会談をした。フランスで企業の管理職や取締役会における女性比率を法律化するかどうかを考えているということであった。ノルウェーは、このようなことについてクオータ制(割りあて制)を導入している。
 ダルコス大臣は、「男女平等はまだまだで、実効性のある手段をとらなければならない」とも語ってくれた。日本と比べれば、かなり男女平等が進んでいると思える国においても、「まだまだ不十分であり、もっとしなければ」と実効性のある手段をとろうとしている。日本においてももっと実効性をあげるためにはどうしたらいいかということが考えられ、政策がとられるべきである。
 国が公共事業を発注したり、業務委託をするときに、男女平等を実現したり、ワーク・ライフ・バランスをとっている企業に加点理由をつけて、評価するということをしたらどうだろうか。花より団子。表彰したりすることも大事だが、企業の態度、企業のなかみ、企業のなかでの働き方を変えることも必要である。
 いろんな働き方が認められ、女性が子どもを持っても働きつづけることができ、男性も子育てをし、子どもとはゆったりした時間が持てる、そんな社会を確実につくっていきたい。




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