福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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変わる障がい者施策
〈『部落解放』2010年4月号〉

 

 障がい者施策が大きく変わろうとしている。
 内閣に障がい者制度改革推進本部ができ、総理が本部長、官房長官と私が副本部長になった。そして、その内閣全体のもとに、障がい者制度改革推進会議が置かれ、いま精力的な会議を行っている。
 当事者や家族の人が一四人、有識者の人が一一人。有識者のうち、女性は五人。つまり、半分を女性になってもらった。
 障害者自立支援法がつくられるときに、その応益負担など問題点があまりにあることから、反対をするためのスローガンは、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」であった。小雨のなかの一万人のデモでもこの「私たち抜きに私たちのことを決めないで」は、大きなスローガンとなっていた。もちろん、何でも当事者だけで決めることはできない。総合的・大局的な政策は必要であり、そうでなければ、そもそも政治は成り立たない。
 しかし、なぜこのスローガンがみんなの心をとらえたかというと、あまりに当事者抜きに、障害者自立支援法がつくられてしまったからである。問題点をいちばん知っているのは、やはり当事者である。
 今回の推進会議は、だから当事者とその家族が一四人で、有識者が一一人である。もちろん当事者とその家族は、自分のかかえている障がいの問題だけの代弁者ではなく、障がい者にかかわるさまざまな問題の代弁者であり、意見を提言してもらう人であると考えている。
 内閣府の参与に、東俊裕弁護士という車椅子の方になっていただいて、室長もかねている。会議は月二回、一回四時間もの長い時間を、休憩をはさみながらやっている。インターネットで配信もしているので、ぜひ見ていただきたい。手話や要約筆記はもちろんあり、介助者の人たちも、これまたもちろんいてくださる。傍聴も多くの方がこられるようにした。内閣府でいちばん大きな会議室を使っている。
 司会は藤井克徳さん。視覚障がい者でもある藤井さんは、運動に取り組んできた人である。私がいままで経験してきた審議会とは、かなり違う雰囲気と中身である。藤井さんは、「○○さん、疲れていませんか。大丈夫ですか」と声をかけ、休憩の時間を見計らっている。
 目標は、障害者基本法の抜本改正と、障害者差別禁止法と障害者総合福祉法をつくり、国内法をきちんと整備したうえで、障害者権利条約を批准することである。四年くらいで考えている。長いけれども、前述した三つの法律をきちんとつくるのは、総合的なことで大作業であり、しっかり議論を尽くさなければできないと考えている。夏までに工程表を出す予定である。
 いままでに三回、会議を行った。
 いつもさまざまな方が傍聴に来てくださる。東大教授の福島智さんは、視覚障がい者であり、聴覚障がい者でもある。彼の著作に私はいつも大きな示唆を受けてきた。その福島智さんが、第一回のときに「きょうは歴史的な日だ」と言ってくださった。それは、実はとてもうれしかった。
 障がい者のみなさんの問題は、ほんとうに長年の取り組みがありながら、日本はまだまだ「後進国」である。教育の段階で差別を受け、そして、雇用のなかでも差別を受ける。
 私の車椅子の友人、戸田二郎さんは関西に住んでいる。新幹線に乗るには、前もって届け出なければならない。車椅子で移動することの大変さをいつも思う。移動の自由がかなり制限されている。
 子どもが生まれて、赤ん坊を抱っこして、電車に乗ったり、駅を歩くと、押されて怖かったことがある。また、私の父もそうだったが、晩年は車椅子に頼ることになることだってある。障がい者の問題は、私たちの人権と地続きであり、つながっている。
 ようやく障がい者制度改革推進会議がエンジン役としてスタートした。歴史と社会と現実を変えるためにがんばりたい。みなさんの関心と協力をお願いしたい。




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