福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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「県内移設反対」の声を受け止め
〈『部落解放』2010年6月号〉

 

 沖縄の普天間基地問題をめぐって、「日米関係を害している」という意見が出ることがある。しかし、そうだろうか。いままで、一見ギクシャクするように見えなかったのは、日本が「ハイ、ハイ」と基本的になんでも聞いてきたからではないだろうか。アメリカがイラクへ武力行使をするときにも、当時の日本政府はすぐ支持を表明し、イラクに自衛隊を送った。イラク戦争について日本政府として、当時の日本政府の判断をきちんと検証すべきである。
 「密約」の問題について、元毎日新聞記者の西山太吉さんと話をした。西山さんは、「密約」の問題も日本政府がアメリカの言うことを「ハイ、ハイ」聞いてきた結果だとおっしゃった。そのとおりである。アメリカの要求を聞き、それを日本国民には黙ってきたのである。
 「アメリカとの関係を悪化させている」と言う人がいる。しかし、それこそ、沖縄の県民に多くの負担を押し付けて、アメリカのほうにばかり顔を向けてきたのではないか。
 今年は、日米安保改定五〇年の節目の年である。多くの人も、沖縄に行ったときに「この基地の現状をなんとかするべきだ」と思ってきたと思う。私も沖縄国際大学に米軍の大型ヘリが衝突した直後に現場にはいって、あらためて普天間基地の危険性を痛感したものだ。
 政権は変わった。自民党政権は、利権に関心はあっても、なんとかして基地をなくしていこうということは考えてこなかったのではないか。そうでなければ、なぜ辺野古の沖に巨大な海上基地を造るという案が出てくるのか。
 いまこそ、普天間基地を返還し、基地を縮小し、沖縄県民の負担を軽減するときである。
 二〇〇九年一一月二〇日に「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価書」が公開された。宜野湾市の伊波市長もよくこの評価書を指摘されるが、この評価書はもっともっと重要視されていいと思う。この一章で、なぜ海兵隊がグアムに移転するのかが具体的に書かれている。二〇〇二年の新しい米軍戦略で、日本、韓国、フィリピン、タイ、オーストラリア、この五地域に有効な場所に海兵隊を集結させることを考えて浮かび上がってきた最適地がグアムなのである。日米交渉のなかでグアムが選ばれたのではなく、アメリカの軍事戦略でグアムが選ばれたのである。『米軍のグアム統合計画―沖縄の海兵隊はグアムへ行く』(吉田健正著、高文研)にもこの評価書のことなどが詳しく採り上げられている。
 先日、テニアンに沖縄県議会議長や社民党の照屋寛徳さんが訪問し、テニアンは歓迎すると言われた。それ以前から社民党などは、「普天間基地の移設先として受け入れるので、ぜひ会いたい」と手紙をもらっていたのである。北マリアナ連邦上院は、テニアンが最適地で受け入れると決議をした。テニアンは、訓練する場所としても最適地だと考えている。
 沖縄の地理的位置といわれる。しかし、国際情勢も刻一刻と変化している。沖縄に海兵隊が家族も含めて何人いて、グアムにどれだけ行き、果たして、何人沖縄に残るのかという実数をアメリカも日本政府も明確にしていない。「日本の抑止力」というが、イラク戦争が激しかったころは、普天間基地の大型ヘリの多くはイラクへ行き、海兵隊も行っていたのである。日本にほとんどいなくて、アメリカの世界戦略で動いているのに、「沖縄にあることによる抑止力」ということにどれだけ説得力があるだろうか。そもそも沖縄国際大学に衝突した米軍ヘリは、イラク戦争に行く前の訓練中に大事故を起こしたのである。人の密集地で訓練をすること自体、間違っていると思う。
 普天間基地問題は、当たり前だが、沖縄だけの問題ではない。多くの人が、四月二五日の沖縄県民大会の「県内移設反対」の声をしっかり受け止めるべきなのである。そして、これまた当たり前だが、その声をだれよりもしっかり受け止め、必死でがんばるべきは政治である。
 私は最近、政治とはあらゆる可能性に挑戦する技術であり情熱だと思うようになった。多くの人と力を合わせ、がんばります。




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