福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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武器輸出禁止は財産
〈『部落解放』2011年2月号〉

 

 防衛大綱のなかに、武器輸出三原則の見直しが明記されないことになった。武器輸出三原則以外のことについていえば、今回の防衛大綱は、基盤的防衛力から動的防衛力への転換をいっていること、島嶼防衛の強化(南西諸島などの防衛の強化)を謳っていることなど、問題がある。
 大綱は、政府の長期間の方針となるものだから非常に重要である。ここでは、武器輸出三原則について述べたい。
 佐藤内閣のときに、武器輸出三原則を決め、三木内閣のときに、拡大して武器輸出禁止の原則を決めた。一九八一年には、衆議院と参議院の両院、全会一致で、武器輸出三原則堅持の決議をしている。官房長官談話などで例外を設けてはいるが、私は、この武器輸出三原則、もっとわかりやすくいえば、武器輸出禁止は、戦後の日本のほんとうに貴重な財産だと思う。
 私が、この武器輸出禁止のことをよりリアルに考えるようになったきっかけは、クラスター爆弾の禁止にとりくみ、国会で質問をするようになってからである。クラスター爆弾とは、親爆弾が投下されると、数多くの子爆弾が飛び出し、それが地面や地表近くに地雷のように存在して、紛争や戦争が終わっても、子どもや市民を殺す武器であり、きわめて非人道的なものである。地雷禁止やクラスター爆弾の禁止にとりくむ人々やNGOからたくさんのことを教えてもらった。日本は、地雷禁止条約、クラスター爆弾禁止条約を批准し、自衛隊が保有していた地雷やクラスター爆弾を何百億円もかけて廃棄した。クラスター爆弾の廃棄費用だけで、約一五〇億円かかっている。
 自衛隊が保有していたクラスター爆弾の七七%は国産品であることを知って、ショックを受けた。「えっ、こんなに国産で作って、持っているのか」という驚きである。日本には憲法九条があり、その九条から導き出される積み重ねで獲得してきた武器輸出禁止の原則がなければ、日本製のクラスター爆弾は、海外に輸出できることになる。もし歯止めがなければ、輸出されていたのではないか。
 クラスター爆弾を作っているのは、アメリカやフランスなど北の超大国。そして、そのクラスター爆弾で傷つくのは、アフリカや中東などの人たちである。地雷やクラスター爆弾は、紛争や戦争が終わっても人々を傷つける。また、遊んでいる子どもたちや市民が多く犠牲になっている。
 私は、当時、教えていた学習院女子大で、クラスター爆弾の処理を担当していて、クラスター爆弾が爆発し、両手足を失い、車いすで生活しているセルビア人のカペタノビッチさんに話をしてもらったことがある。
 クラスター爆弾を作り、金もうけをしている国と、爆弾が投下され、傷つく人々の国。これは明白に分かれていて、まったくの非対称だ。クラスター爆弾を作り、輸出している国で、クラスター爆弾で死ぬ子どもはいない。武器を売って、金もうけをしている超大国と紛争や戦争で苦しむ人たち。そのあまりの対比にも怒りを感じた。武器を作って、金もうけをしている国々の人たちは、その武器がどんなに人を傷つけているかを知るべきだと思った。武器に、非人道的も人道的もなく、すべての武器は非人道的ともいえる。しかし、核兵器や劣化ウラン弾をふくめ、明らかに非人道的な兵器は禁止していきたいと考えている。
 防衛大臣は、二〇一〇年一月、防衛産業の人たちの前で、武器輸出三原則の見直しに言及した。何度も発言している。自民党のなかにも民主党のなかにも、武器輸出を解禁すべきだという声がある。だからこそ政府は、防衛大綱に盛り込もうとしたのである。とんでもない。日本の戦後の大きな転換点となってしまう。日本製の武器は海外に輸出できなかったのに、「アリの一穴」が開き、輸出できることになるからである。日本製の武器が世界の子どもたちを殺すことを私たちが望むのかということが問われている。武器の共同開発も同じだ。たとえば、フランスと共同開発をして、その武器が第三国に輸出されることを止めることは、実際にできないのである。武器輸出解禁が今後進まないよう、一緒に声をあげていこう!




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