福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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原発をなくしていこう
〈『部落解放』2011年6月号〉

 

福島第一原子力発電所の事故が現在進行形で続いている。放射性物質を水に、海水に、空気中に、土の上に放出しつづけている。原発がいったん事故を起こせば、ほんとうに大変なことになる。取り返しのつかない甚大な被害を莫大な人たちに、そして、未来に与えつづけている。
 原発事故のために働いている労働者の労働条件を何回か国会で質問したり、原子力安全・保安院に聞いてきた。三月は、クラッカー、カロリーメイト、缶詰、カップラーメン、お菓子など。四月以降は、パックの丼もの・カレー・ビーフシチュー・中華丼、パン、野菜ジュース、ソーセージ。レトルトという回答だったので、せめて弁当を出せないかと質問。すると、最近は、週二、三回、郡山市内から弁当を差し入れすることになったようだ。週二、三回しか弁当を食べられないのか。
 放射線量計を身に付けないで働いている人もいた。では、病気になったときに、どうやって仕事との因果関係を立証するのか。線量計を持っていなければ、自分の被曝量を立証できないではないか。
 建物の内外は放射線量が高くて作業がしにくいと聞いている。
 原発はいったん事故を起こせば、苛酷な労働、命を危険にさらすような労働を強いてしまうということが大きく明らかになった。
 原発に依存しない社会をつくろうとつくづく思う。原発に依存しない社会をつくろうと言うと、「原発は嫌だけど、三割も依存しているのだから仕方ない」と思う人もいるかもしれない。しかし、原発に依存しなくてもやっていけるのだ。九電力会社は、それぞれ全発電容量を夏のピーク時の需要量よりもはるかに多く持っている。発電できる手段をいろいろ持っていて、その時々の需要に合わせて供給している。原発は定期検査でとまることもあり、そのときは他の電力の手段を使っている。逆に、原発を動かしているときは、火力、水力発電をとめている。火力や水力の稼働率は低くなっている。
 たとえば、中部電力は、全発電容量は三二六三万キロワット、いまの供給は二〇〇〇万キロワットを下回っている。夏のピーク時はいまより高くなるが、三〇〇〇万キロワットは超えないといわれている。いま動いている二基の浜岡原発の総電力は、二四〇万キロワット。東海、南海、東南海の三連動の地震が起きることを中部電力も認めている。いまもっとも危ないといわれている浜岡原発をとめても、電力の供給に問題はないのである。
 そもそも日本に五四基原発があるが、定期点検中のものがあり、いま現在は二二基しか動いていない。「原発がとまったら大変」と思うかもしれないが、けっこうとまっている。
 火力発電も、CO2を出すのが比較的少ない天然ガスを燃やすなど、工夫していけばいい。
 五四基のうち、もっとも古いのは敦賀で、稼働して四一年たっている。老朽化したものは、順次きちんと廃炉にしていくべきである。元東芝の原子炉設計技術者である後藤政志さんは、福島原発が一号機から問題が発生したのは、年代の古い順ということがあるのかもしれないとおっしゃっている。
 新規の原発は建てない、古いものは順に廃炉にしていく、危険なものから順に停止していくということをしっかりやっていくべきである。
 ところで、政府、とりわけ経済産業省、保安院、原子力安全委員会、電力会社、一部の政治家たちが結託して、「安全だ、安全だ」と言い、問題点を踏みつぶして、「国策」として原発を推進してきた罪は重いと思う。税金や電気料金を多額に原発につぎ込んで、推進してきた責任は大きい。その結果が今回の事故であり、この大事故は現在進行形で進んでいるのである。
 電力会社は、地域独占でやってきた。それぞれの地域で、そこの電力会社が発電も送電も独占している。自然エネルギーで発電をしても、送電線につなげなければビジネスは成り立たない。多くの国は送電と発電を分離している。日本もやろうではないか。地方分権型の自然エネルギーの促進が再生の鍵である。




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