福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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原発輸出を止めよう
〈『部落解放』2011年7月号〉

 

 国際会議に出席するためにマニラに出かけた。社会主義インターナショナルのアジア・太平洋委員会の会議である。社会主義インターといっても社会民主主義インターであり、各国の社会民主主義政党の集まりである。ドイツ社民党、スウェーデン社民党、オーストラリア労働党、イタリア左翼民主党の人たちなども参加していた。七月には、アテネで世界の理事会が開かれる予定である。
 私は今回、東日本大震災、原発震災のことについて報告した。被害の状況を会場に張り出し、理解してもらうようにした。地震列島の日本において原発は、地震による被害を受け、コントロールできない状況に陥りかねないこと、被曝の問題、故郷を離れなければならない人たちが数多く出ることなどや、脱原発の必要性、自然エネルギーの促進について話をした。
 世界の国々の福島原発事故への関心は、きわめて高い。
 南アフリカに長く住んでいた日本人の友人も、一緒にマニラに行った。彼女は言う。
 「南アフリカは電力供給が悪くて、フランスの会社が『南アフリカの電力は私たちにまかせなさい』と、原発の売り込みに数年前にやってきたんですよ。アフリカに対する原発の売り込みは激しいんです」
 日本も去年一〇月三一日、日本とベトナムの首脳会談において、原発の建設について日本をパートナーとすることで合意した。
 第一サイトのパートナーは、ロシアに決定。初号機は二〇一四年着工、二〇二〇年に運転開始予定。日本は第二サイト、二基のパートナーである。ベトナムは首相が、二〇三〇年までに一四基の原発を建設する計画を決定している。
 このベトナムへの原発輸出については、日本の国際協力銀行(JBIC)が、融資、あるいは債務保証することが検討されている。債務保証とは、融資が焦げ付いた場合、税金で穴埋めする措置である。原発輸出で「金もうけ」するのは、プラントを輸出する日本の会社だけ。それに日本の財政投融資などが使われるわけであるから、まさに「国民の懐」を使って、原発を輸出するわけである。
 日本政府は原発輸出を「新成長戦略」の柱のひとつにすえているが、「稼ぐ」ということにほんとうになるのだろうか。
 私は一〇年ほど前、当時、衆議院議員だった山内恵子さん、北川れん子さんと一緒に、台湾に原発輸出を阻止するために出かけたことがある。
 アメリカは、電力市場の自由化が進んでいるので、新規原発はリスクが高く、融資が集まりにくい。また、アメリカやヨーロッパは、原発の安全基準が厳しくなっており、これまた原発を建てられなくなっている。原発市場は、どんどん縮んでいっている。
 だから、いま逆に、アジアやアフリカに対する原発輸出が活発になっているのだと思う。福島第一原発の一号機は、アメリカのGE社製。アメリカが日本に原発輸出をしようとし、日本においては、政治家が予算をつけ、「核の平和利用」という幻想をばらまき、原発の立地をしてきたのが、日本の原発の始まりである。
 国内の原発問題は深刻であり、このことに必死にとりくまなければならないが、世界に眼を転じて、「原発の南北問題」にもとりくまなければならない。
 国内で、そして、アメリカやヨーロッパで、原発を建てられなくなった分、アジアやアフリカに輸出することが加速しかねない。
 電力供給に苦しむいわゆる途上国は、原発に期待し、また、多額の金が動くため、政治家は動くかもしれない。しかし、「危険な原発」の輸出であり、放射性廃棄物の処理さえ解決がついていないのである。日本の国際協力銀行(JBIC)が融資や債務保証をするなんて、とんでもない。
 タバコや農薬なども、アメリカやヨーロッパで売りにくくなると、アジア、アフリカなどへ売り込もうとしている。原発は、いったん事故が起きると取り返しがつかない。私たちは原発輸出も止めなければならないと思う。




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