福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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「世界の100人」に選ばれた
〈『部落解放』2012年2月号〉

 

 アメリカの外交雑誌『フォーリン・ポリシー』が「二〇一一年の世界の一〇〇人」に選んでくれた。これは、パートナーの海渡雄一と一緒に選んでくれたものである。三〇年以上にわたって裁判と政治などの場で反原発を貫いて活動してきたことが受賞理由である。
 ワシントンDCに行ってきた。アラブの春の指導者たち、活動家の人たちも受賞していて、レセプションでは、いろんな人に会うことができた。また、連邦議会がレセプションを開いてくれた。三月一一日以前も、そして実は以後も「社民党は脱原発なんて言うのだったら、ろうそく灯す暮らしをしろ」なんて言われたりした。原発以外に電力があり、原発に依存しなくてもやっていけるのだということが、まだまだ浸透していない。だから、今回の賞にはずいぶん励ましてもらった。日本で脱原発を実現しなくてはと心から思う。
 そして、せっかくワシントンDCに行くのだからと、沖縄の辺野古のことやTPP(環太平洋経済連携協定)についてできるだけ多くの人と話をしてきた。
 沖縄の辺野古沖に米軍基地を建設することについて、不可能だ、できないと言う人が増えていることを実感した。米上院軍事委員会委員長のカール・レビン議員、上院東アジア太平洋小委員会委員長のジム・ウェッブ議員、ジョン・マケイン議員は、二〇一一年五月、「東アジアにおける米軍再編計画は再検討が必要であり、国防総省による現行案は非現実的、実行不可能で、費用が捻出できない」と提言している。ジョセフ・ナイ氏もマイク望月氏なども、すでに辺野古沖は無理だと発言しているが、今回お会いしたスティーブン・クレモンズ氏、シーラ・スミス氏をはじめシンクタンクの何人もの人たちが、私に対して「辺野古は無理だ」と発言した。明らかに変わってきている。
 また、アメリカの国会は、予算削減一色だった。オバマ大統領は二〇一一年四月、二〇二三年までに国防費を四〇〇〇億ドル削減する方針を表明しているが、議会はこれでも納得していない。予算削減のなかで問題とされているのが、国外基地の存在である。ちょうどワシントンDCにいるときに、上院は在沖縄海兵隊のグアム移転費を認めず、その後、グアム移転費削除が確定した。アメリカ本土の基地のなかには、閉鎖や統合にあっている所もある。その分、雇用が減っている。だから地元の雇用のために、アメリカ本土の基地の存続をという声もある。米軍の再編を予算や雇用という観点から考える声が強くなっている。
 事態が動き出しているなかで、沖縄の米軍基地を減らし、辺野古には造れないということを実現していきたいと思った。アメリカのさまざまな声、沖縄の人たちの声が、それぞれ相手方に十分伝わってきていなかったのだ。
 同じことをTPPでも感じた。アメリカでは、正直、TPPについてはあまり知られていなくて、議論もようやく始まったばかりという印象だった。AFL−CIO(全米最大の労組連合)を訪れ、TPPについて意見を交換した。政策担当者の意見は、「TPPについては慎重な立場である。まだ結論は出ていないが、おそらくTPP反対になるだろう」ということだった。
 第一に、アメリカ内の雇用に悪影響があるかもしれないということ。第二に、NAFTA(北米自由貿易協定)を経験しているが、TPPでも仲裁裁判所に提訴できるのは企業だけで、NGOや組合は提訴できない。結局、大企業の利益のみが体現されるのではないか。第三に、地方政府の公共調達について、アメリカの各州などは、積極的差別是正措置の制度をさまざまに持っている。現時点においてそれらは有効だとしても、将来、TPPにはいって、新たな措置を講じようとした場合、それがTPP違反とならないか。第四に、途中で不利なことが出てきても、外交は相手国があるので、途中で交渉から離脱することはできないのではないか。日本で心配している人がいるように、やはり、アメリカでも心配している人たちがいるのだ。決して一色ではない。
 一部の人たちの情報のみが流されるのではなく、もっともっと多くの人たちと交流し、変えていかなきゃとあらためて思った。




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