福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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情報はだれのものか
〈『部落解放』2012年5月号〉

 

 情報はいったいだれのものか。
 そんなことを怒りをもって考える。
 去年の三月一一日以降、SPEEDIという放射能の広がりを予測するシステムがあることを知って、データを出すように求めたが、これがなかなか出ない。文科省の役人と交渉すると、「上に止められています」。止めているのはだれだ。文科省の上層部か、だれなのか。「きちんとしたもとの数値が出ていないし、予測でしかありません」と言うが、役に立つかどうかは国民が判断するものでしょうと言いたい。
 三月二二日に参議院の予算委員会でスピーディの結果を出すように質問。二三日にようやく出た。そして、いま、福島と同じ過酷事故の設定で、全原発について試算をして発表してほしいと要請しているが、まだ出してこない。いろんな試算をして出すべきだ。国民の税金を一二四億円以上、スピーディについては使っている。予測を知りたいのだ。過酷事故が起きた場合の試算をすると、風向きによっては被害の範囲がうんと拡大し、人々の間に原発反対、原発再稼働反対の声が強まるからではないか。情報はだれのものか。政府のものではなく、また、政府が決めるものでもない。
 原発再稼働をするときに地元の同意が必要という場合の地元とはどこか。これだって、スピーディの過酷事故の場合のデータも出さずに、政府が地元の範囲を狭小化するのはおかしい。地元は広範囲になるはずだ。福島東電原発事故によって、実に広範囲に、放射性物質は飛んだ。
 次に、秘密保全法案の場合。秘密保全法案についての有識者会議は、第一回に非公開を決めている。事務局の第一回の案に、はじめから「非公開とする」とあり、有識者会議でそれを決めている。したがって、議事録はない。メモを出すように求めたが、「メモは全員廃棄した」との回答。「全員とは何人か」と聞くと、「それは言えない」という回答。メモも情報公開法では情報公開の対象である。なぜそれを廃棄するのか。しかも秘密保全法案は、まだ閣議決定をしていない。閣議決定もしておらず、審議もまったくしていない段階で、メモを全員が廃棄し、しかも議事録もなければ、検討の中身や立法事実をどうやって検証するのか。
 秘密保全法案自体、秘密の範囲が広範囲で、何が秘密なのかよくわからない。報告書では、@国の安全、A外交、B公共の安全及び秩序の維持の三分野を対象に、国の存立にかかわる重要情報を「特別秘密」に指定し、保全措置の対象とするとしている。その秘密をもらした公務員も、そそのかした(つまり、取材した)ジャーナリストなども重罰に処せられる。国民の知る権利が侵害される可能性が実に高い。その秘密保全法案作成の過程が、前述したように議事録もなく、メモすらすでに廃棄しているのであるから、過程すら秘密ではないか。
 さらに、がれきの処理についてである。がれきの広域処理については、いろんな意見がある。ところで、これまたこのがれき処理についての検討会の議事録が全部公開されていないのである。がれき処理については、災害廃棄物安全評価検討会と環境回復検討会がある。災害廃棄物安全評価検討会は、全部で一一回開催されたが、議事録は第一回から第四回までしか存在していない。第五回からは、議事要旨のみとなっている。議事要旨だけだと、何を議論したのかわからない。なぜ議事録を作ることをやめたのか。風評被害を防ぐためや予算節約のためと一度説明を受けたが、そんなのはおかしい。そして、「メモはあるのか」という質問に対しては、これまたメモは保存されていないという回答である。第五回から第七回までの災害廃棄物安全評価検討会、第一回および第二回環境回復検討会、ならびに第一回災害廃棄物安全評価検討会・環境回復検討会における録音データはあるとのことなので、いま、このデータを出せと交渉中である。素朴な疑問。なぜこのような重要な議論を公開しないのか。議論を知ってはじめて、人々はまた議論できるではないか。
 情報はだれのものか。政府は、政府のものと思っていないか。情報は国民のものである。




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