福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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追悼
〈『部落解放』2012年8月号〉

 

 最近、仲良くしていた評論家の吉武輝子さん、元新聞記者で弁護士の日隅一雄さん、高速増殖炉もんじゅ原告団事務局長であり、原発反対福井県民会議の事務局長であった小木曽美和子さんが、相次いで亡くなってしまった。悲しいし、本当に残念である。
 しかし、それぞれに見事な人生。ありがとうと言い、それぞれがやったこと、やろうとしたことを多くの人と引き継いでやっていきたい。遺志をしっかり実現していきたい。
 吉武輝子さんは、作家であり、活動家であり、評論家。すばらしいフェミニストである。多くのすばらしい著作を書かれている。私は、吉武輝子さんと樋口恵子さんを「社会の母」と呼んできて、若いときからかわいがってもらってきたので、亡くなられてガックリしている。
 腰に手をあてて、凛として、的確な言葉で的確に発言し、みんなを鼓舞してくれた。去年の五月五日は、杉並の駅で一緒に街頭に立ち、「被災地の子どもたちに絵本を送ろう」という募金集めをした。体調がよくなくても、選挙も活動も本当に必死で応援してくれた。「一緒だからね」といつも励ましてくれた。九月の集会でも、一一月二三日の「脱原発をめざす女たちの会」のキックオフ集会でも実にいい発言をしてくれた。戦争の後始末も原発の後始末もできないのだから、戦争も原発もやめるべきだという力強い言葉だった。
 吉武さんは、「憲法九条を無傷のまま未来世代に渡したい」と口癖のように言っていた。平和と男女平等に人生を捧げた、おしゃれで、シスターフッドにあふれた吉武さんに、心から感謝である。九月一八日に偲ぶ会がある。
 弁護士の日隅一雄さんは、四九歳で亡くなった。残念無念。本当によく働く人だった。NHK番組改変事件、沖縄密約開示請求事件を弁護士として担当。インターネット市民メディア「NPJ」の編集長をしていた。去年の三月一一日以降は、東電の記者会見にずーっと出席し、情報を公開しようとしない東電に対し、厳しく迫っていった。新聞記者出身であり、弁護士でもある日隅さんの本領発揮であり、私は、日隅さんが記者会見に出ていることで大きな安心感をもっていた。このときの記録が『検証 福島原発事故・記者会見―東電・政府は何を隠したのか』(岩波書店刊)である。
 去年の五月に日隅さんは、ガンであることがわかり、余命半年と医者に宣告された。それ以降、前にも増して、精力的に活動を続けた。日隅さんの本に『審議会革命―英国の公職任命コミッショナー制度に学ぶ』(現代書館刊)と『「主権者」は誰か―原発事故から考える』(岩波ブックレット)がある。日隅さんの問題関心は民主主義だと思う。情報は誰のものか、主権者である国民が情報を入手し、コントロールできる社会をどうつくっていくのかというのが日隅さんのテーマの一つだった。情報を流通していくことがこの社会で必要なことだと考え、そのために努力してきた。亡くなる前に、インターネット選挙のことも話していた。選挙のときに本当に必要な情報が流通しているのか、不自由ではないかという問題関心である。四九歳という若さ。もっともっともっとやりたいことがあったはずだ。寄付を集めて「日隅一雄基金」をつくり、情報の流通に貢献したさまざまな人たちを毎年表彰し、日隅さんの遺志を継いでいこうという話が出てきている。偲ぶ会は、七月二二日である。
 つい最近、福井在住の小木曽美和子さんも亡くなってしまった。一九七六年の原発反対福井県民会議の設立から活動に参加し、一九八四年からもんじゅの裁判準備を始める。四〇年近い全力投球の反原発人生である。超党派で、地元で、根気強い運動を展開し、続けてきた小木曽さんの行動力と情熱と根気強さに頭が下がる。私は、一九八四年ごろ、小木曽さんに会った。もんじゅの裁判は、二〇〇三年名古屋高裁金沢支部で「原判決を取り消す。高速増殖炉『もんじゅ』に係る原子炉設置許可処分は無効であることを確認する」と画期的な判決が出る。最高裁でくつがえされるが、小木曽さんたちのがんばりの成果である。もんじゅ廃炉を見届けずに亡くなられて残念である。




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