福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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脱原発全国行脚
〈『部落解放』2012年12月号〉

 

 全国の原発をまわっている。脱原発全国行脚である。現場に行くと、びっくりすることや気づくことや感じることがたくさんある。
 福井県大飯原発へは、再稼働されるかなり前に行った。ベント設備がないこと、免震重要棟もないこと、津波対策の防潮堤のカサ上げをこれからすることを知った。ベント設備をこれから造る。ベントのフィルターは将来、格納容器の中に入れると聞いたときは、大丈夫かと驚いた。万が一、事故があったときに格納容器の中で健全に機能するのか。これからやると宿題を語るだけで、なぜ保安院や政府は、再稼働にゴーサインが出せたのか。宿題はまだやっていない。
 次に大飯原発を訪れたのは、やはり再稼働の前。変動地形学の専門家である渡辺満久教授と一緒に行った。活断層と思えるものが原発の重要施設の下を通っていることがわかった。再稼働をする前に現地調査をすべきだと主張したにもかかわらず、再稼働。しかし、超党派の議員で申し入れをし、保安院の地震・津波に関する意見聴取会での専門家の主張もあり、保安院は、関西電力に活断層の現地調査を命じる。そして、原子力規制委員会は、この活断層調査の五人の専門委員の一人に渡辺教授を選ぶ。活断層がないかあるかグレーの結論になったときは、「疑わしきは住民の利益に」で、廃炉にすべきである。そもそも、原発を動かしながら活断層の調査をすること自体、危険ではないか。
 一〇月九日、石川県志賀原発に視察に行った。保安院は、志賀原発の活断層の現地調査も命じていた。志賀原発の活断層は、何と原子炉建屋の真下にあった。これが活断層かどうかを調査するために北陸電力は、この原子炉建屋の隣に直径八メートル、深さ四〇メートルの穴を掘り、原子炉建屋のほうにトンネルを掘るのである。視察に行ったときはちょうど穴を掘っている最中であった。これには心底驚いた。保安院の委員会で、今泉教授らが図面を見て「これこそ活断層ではないか」「なぜこのようなものが許可されたのだ」と発言するのを聞いて、そのことにもショックを受けたが、その活断層は、原子炉建屋の地下にあったのである。活断層がずれれば、建屋も原子炉も破壊されるから、大変なことになる。しかも原子炉の地下にトンネルを掘って大丈夫なのだろうか。
 活断層の存在が指摘されている原発は、多数ある。北海道・泊原発、青森・大間原発・六ヶ所再処理工場、福井・敦賀湾一帯、島根原発、愛媛・伊方原発、佐賀・玄海原発、鹿児島・川内原発などである。全国の原発の活断層の現地調査をあらためてすべきである。
 ところで、一〇月一八日に島根原発を、二三日に六ヶ所再処理工場、大間原発を視察した。再処理は高コストである。六ヶ所だけで一九兆円かかる。しかも技術はトラブル続きでうまくいっていない。核燃料サイクルなんて、実現できないことはやめるべきである。
 政府は、二〇三〇年代に原発ゼロをめざすと言いながら、まだ完成されていない原発について建設にゴーサインを出した。設置許可を受けて建設中の原発は、島根3号、大間、東通の三つである。島根原発3号機と大間原発を視察して、つくづく思った。「まだ、引き返せるし、引き返すべきだ」と。燃料が核分裂をしていないのだから、原子炉も放射性物質で汚染されていない。いったん核分裂を始めてしまえば、廃炉の手続きだって、コストもかかり、労働者は被曝する可能性がある。「引き返すための黄金の橋を渡れ」と声を大にして言いたい。そもそも脱原発をめざすのであれば、これから新増設をする必要はないのである。
 大間の対岸の函館市に行き、市長、議長と会談。市役所から大間原発建設現場が見える。二三キロしか離れておらず、何も遮るものがない。函館市民の反対はもっともだ。
 脱原発全国行脚をして、全国の原発をみんなでとめていきたい。




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