福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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格差是正、脱原発、憲法を活かす
〈『部落解放』2013年1月号〉

 

 一二月一六日がいよいよ衆議院議員選挙、都知事選挙、都議会議員補欠選挙である。
 争点は、格差是正か格差拡大か、脱原発か原発推進か、憲法を活かすか憲法改正か、だと思う。
 自民党のスローガンは「日本を、取り戻す」である。どんな日本を取り戻すのか。憲法を改正して、日本を戦争のできる国にするのか、ふたたび政官業癒着で原発を推進するのかと言いたい。
 自民党の公約は、外交・安全保障のところでは、「日米同盟の強化のもと、国益を守る、主張する外交を展開」、「集団的自衛権の行使を可能とする」としている。
 憲法改正については、新憲法草案を提示、「国旗は日章旗、国歌は君が代とする」とし、「国防軍を保持することを明記」、「憲法改正の発議要件を衆参それぞれの過半数に」するとしている。法律は衆参過半数で成立するので、憲法改正の発議の要件を現憲法下の三分の二から、法律並みにするのである。維新の会も維新八策で、過半数に緩和すると提案している。国会で過半数を占める勢力、つまり与党は、ほとんどいつだって憲法改正の発議ができることになる。
 教育・人材育成の部分では、「いまだに自虐史観や偏向した記述の教科書が多くある」として、「子供たちが日本の伝統文化に誇りを持てる教科書で学べるよう、教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて、近隣諸国条項も見直す」としている。  さらに自民党は、民主党が提案する人権委員会設置法案に断固反対としている。
 エネルギーについては、「遅くとも一〇年以内には将来にわたって持続可能な『電源構成のベストミックス』を確立」とある。
 ベストミックスというのは、3・11以前にも使われていた言葉で、原発も自然エネルギーもやりますよということではないか。「一〇年以内にベストミックスを確立」では、脱原発への道筋は見えない。「原発の再稼働の可否については、順次判断し、全ての原発について三年以内の結論を目指す」としている。
 私たちは、どういう社会をめざすのか。
 自民党は経済成長をめざすとするが、社会のなかにある格差の拡大や貧困の増大をどうするのか、雇用をどう立て直すのかということが見えない。
 国土強靱化計画で一〇年間に二〇〇兆円の公共事業というが、ばらまきの公共事業になってしまうのではないか。
 小泉構造改革のとき、景気の指標はよくなった。大企業は利潤を上げたが、そのもとで、バス、タクシー、ハイヤーの規制緩和、製造業についても派遣を認めることなどが進み、格差が拡大し、貧困層も増加したのである。
 大企業は内部留保をためこんだが、賃金は一三年間下がりつづけ、現在、女性と若者の二人に一人が非正規雇用である。
 富やお金が一部に集中し、全体にいきわたらないことが問題である。GDP(国内総生産)の多くの部分を占める国内の個人消費が、どんどん縮小していっている。消費税を上げれば、収入の低い人に大きな負担が生じる。そして、野田内閣のもとで法人税は五%下げられ、今回、消費税の増税のみで、富裕層への増税はいっさい削除されたのである。
 社会のなかの富をもっと公平に分配して、多くの人々が生きられるようにしなければならない。雇用の立て直しをしなければ、年金保険料も医療の保険料も払えず、貯金もなく、将来、無年金になってしまう若者や女性たちが増大する。
 格差是正、脱原発、憲法を改正させないことは、スローガンではなく、いのちに直結する大事な問題である。また、日本の社会を将来にわたってどうするかというきわめて重要な問題である。
 多くの人たちと、人々が主人公になる社会をめざして、力を合わせたい。




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