福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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婚外子差別違憲の最高裁決定
〈『部落解放』2013年11月号〉

 

 二〇一三年九月四日、最高裁の大法廷は、全員一致で、婚外子の法定相続分を二分の一と規定した民法九〇〇条四号但書は、憲法一四条の法の下の平等に反するという決定を出した。婚外子の法定相続分を二分の一と規定した民法は、憲法違反だとされたのである。
 夕方、婚外子差別撤廃に取り組んできた人たちと話をしたが、ほんとうにみんな喜んでいた。私にとっても感慨ひとしおだった。弁護士として最終弁論までやったものの、一九九五年、最高裁は、一〇対五で合憲決定を出していたからである。長い道のり。でも、違憲決定は、ほんとうにうれしい。ただ、これから民法をしっかり改正させる仕事が残っている。民法を変えなければ! どうかみなさん、力を貸してください。応援してください。
 最高裁の違憲決定のいちばん大事な部分は、次のところである。
 「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきている」
 これは婚外子差別について述べているものだが、他のさまざまな差別を根絶する場合にもいえるものである。生まれながらの差別を許してはならず、人は個人として尊重し、その権利を保障すべきであると。この文章を読んでくださる人たちは、部落差別をはじめさまざまな差別をなくしたいと思っていらっしゃる方が多いと思う。この違憲決定の、なぜ差別はだめなのか、法の下の平等に反するという部分をおおいに生かしていこうと言いたい。
 私自身も婚姻届を出さず、パートナーがいて、子どもを産んだので、子どもは婚外子である。婚外子差別撤廃を自分の問題として取り組んできた。趣味と生きがいと実益をかねて、撤廃しなければと。
 「住民票の続柄欄の差別的記載をなくすため、裁判で争いたいんです」と裁判の代理人を頼まれたのは、一九八八年、今から二五年前のことである。当時、住民票の続柄欄は、婚内子は「長男」「二女」……と書かれ、婚外子は「子」と書かれてきた。養子の場合は「養子」。パッと見てわかる記号的な差別はおかしい、法律や制度が差別を助長するものであってはならないという原告たちの意見はそのとおりだった。裁判を提訴中に、一九九四年、政府が通達を出して、婚内子も婚外子も養子もすべて、住民票の続柄欄を「子」とした。これは、「すべて『子』と記載して何か支障が生じるか」と行政と論争していて、当時、自治省は「検討した結果、何も問題は生じない」という結論に達し、すべて「子」となったのである。当事者がまさに制度を変えたのである。
 次に、戸籍の続柄欄の差別の裁判も担当した。戸籍の続柄欄は、婚内子は「長男」「二女」……と書かれ、婚外子は「男」「女」と書かれていた。これまたパッと見てわかる記号的な差別。こんな表記はやめてくれ、差別的ではない記載をしてくれと訴えた。一審判決後の二〇〇四年に戸籍法施行規則の改正が行われ、婚外子も「長男」「長女」……と記載されることになった。そして、すでに戸籍に記載されている婚外子の続柄欄の記載も、通達によって本人の申し出により「長男」「長女」……に書きかえることになった。
 しかし、そもそも家督相続制を廃止した戦後において、「長男」や「三女」を区別する理由はまったくないのだ。とりわけ法定相続分の婚外子差別が違憲となった今、なおさら子どもたちを区別、差別する必要はなくなったのである。本人の申し出により記載を変更するという今の制度は、差別を恐れる当事者の気持ちを理解していない。
 出生届も、婚外子と婚内子をチェックする欄がある。そして、そもそも「嫡」というのは「正統な」という意味があり、民法のなかの「嫡出子」「嫡出でない子」「嫡出推定」などの言葉は変えるべきではないだろうか。
 違憲決定をふまえて、やらなければならないことはたくさんある。差別撤廃のために立法の場でがんばります。




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