福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

「参議院議員・弁護士 福島みずほのWebsite」はこちら



 

介護と雇用の破壊
〈『部落解放』2014年4月号〉

 

 今国会に、介護保険の改悪法案が提出されている。
 私は、父が介護保険のお世話に本当になった。父は亡くなってしまったが、母はいま八四歳。介護保険のお世話になっている。デイサービスやショートステイに行っている。介護保険のおかげと姉などのおかげで、母も何とか元気に過ごしている。
 今回の介護保険の改悪法案の最大の問題点は、要支援認定者のホームヘルプ(訪問介護)とデイサービス(通所介護)を介護保険給付から外して、市町村事業である地域支援事業に移行することである。訪問介護と通所介護を介護保険給付から外して、いったいどうするのか。もちろん要支援の人たちについてである。しかし、人は突然、要介護になるわけではない。要支援の段階で、きちんと訪問介護や通所介護が行われることで、ずいぶん救われる。
 厚生労働省は、そうすることで、ずいぶん予算が削減になると計算している。何ということはない。給付を抑制するために制度を変えるのである。
 地域支援事業に移行すれば、財政力のない自治体は十分なことがやれないということも考えられる。また、受け皿がないところもあるだろう。これは、介護保険の破壊である。
 何のために四〇歳からずっと介護保険料を払うのか。保険料を払いつづけながら、実際、自分の地域で、要支援の場合に訪問介護と通所介護を受けられないということもありえる。
 一定以上の所得者の負担を二割に引き上げるというのも盛り込まれている。年金収入二八〇万円以上(合計所得金額一六〇万円以上相当、被保険者の約二割が該当)といわれている。
 さらに、特養老人ホームには、重度でなければ入れないということも盛り込まれている。現在入所している人が退所させられるわけではないということであるが、現在、特養老人ホームの入所待ちをしている人のなかで、要支援の人などは除外される。つまり、入れないのである。また、特養老人ホームの入所待ちの人たちの人数を減らす目的もあるのではないか。
 介護保険の破壊を許してはならない。
 また、労働者派遣法の改悪法案も提出される予定である。
 現在、非正規雇用の人たちは三七パーセント。二〇一三年一〇月から一二月までの統計で、非正規雇用労働者は一九六五万人であり、過去最高となった。年収二〇〇万円以下の人が一〇九〇万人である。現在の日本の最大の問題のひとつが、非正規雇用の増大であり、労働条件の悪化である。
 小泉政権のときに、製造業も派遣を可能とし、労働法制の規制緩和を行った。その結果、起きたのが派遣切りであり、派遣村の取り組みである。雇用の破壊を食い止めるために、労働法制の規制強化に政治はようやく向かった。労働者派遣法の規制強化であり、労働契約法の改正である。何とか正社員を増やしていく努力が払われた。
 三年間、派遣労働者として働けば、正社員になるという申し入れが権利としてできるようになった。しかし、今回の改正法はこれを覆すものである。派遣元で無期雇用であれば、一生、派遣労働者として働かせることが可能である。三〇年、四〇年働いても、正社員とはならず、一生派遣のまま。また、派遣先は、三年おきに人を入れ替えれば、派遣労働者を雇いつづけることができる。つまり、正社員になる道を塞ぐのである。安倍総理は、非正規労働者を増加させるつもりはないと答弁をする。冗談ではない。派遣労働者のなかで正社員になる道を閉ざせば、非正規労働者が圧倒的に増加する。現在、新卒の人の四割が非正規雇用となっている。今後、派遣法が改悪されれば、事務職の人や女性たちは、正社員として雇われず、派遣で働くということが常態化する。
 労働者派遣法の改悪のあとは、限定正社員といった正社員のなかでの労働条件の低下、解雇の規制緩和などが待ち受けている。雇用を破壊させないための、今が正念場である。




「福島みずほの人権いろいろ」index


HOME


JINKEN BOOKは、(株)解放出版社が提供しています。 無断転載を禁じます 。
Copyright (C)Buraku Liberation Publishing House Co.,ltd 2001, All Rights Reserved


E-mail

(株)解放出版社
Phone:06-6581-8542(代表) Fax:06-6581-8552
東京営業所: Phone:03-5213-4771(営業) FAX:03-3230-1600