福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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埋めてしまえば終わりか
〈『部落解放』2014年7月号〉

 

 先日、高レベル放射性廃棄物の地層処分を研究する北海道幌延町の幌延深地層研究センターを視察した。旭川市からバスで三時間ぐらい揺られて幌延へ。
 地元のみなさんと意見交換をし、一四〇メートル、二五〇メートルの地下に潜り、実際どのような研究をしているのかを視察した。いざ地下へ。
 フィンランドの高レベル廃棄物の最終処分場オンカロを扱ったドキュメンタリー映画「一〇〇〇〇〇年後の安全」がある。このドキュメンタリーは、一〇万年間も人間が高レベル廃棄物を管理できるかという視点から作られていた。しかし、幌延は、長期間管理をするという視点がまったくなかった。坑道は、低アルカリコンクリートで固められているが、どれだけ持つのだろうか。すぐボロボロになってしまうような感じである。一〇万年、一〇〇万年管理するという話はいっさい出なかった。ガラス固化体にして、金属(炭素鋼)で覆い、緩衝材をまわりに置く、そして天然バリアで遮断するというものである。天然バリアとは何か。単に地下深部の環境のことである。あとは野となれ山となれ。長期間管理をし、何年大丈夫だという話は出なかった。ガラス固化体もいずれ溶けてしまう、いずれ炭素鋼も腐食し、自然に返るという説明には耳を疑った。だんだん放射性物質の線量が低くなるので、という話であったが、そのはるか手前の段階で、一〇〇年後、いや五〇年後、放射性物質が漏れ出したらどうなるか。
 フィンランドのオンカロは花崗岩の岩盤に建設されており、それは先カンブリア紀にできたものである。土地は硬く、乾いていて、安定している。それに引き換え、幌延の地層は新生代のものであり、新しく、泥岩である。土を触ってみると、湿っていて、手に泥がついた。おまけにこの幌延は、以前海であったところが隆起したものである。貝殻の化石が飾ってあった。また、この地下を掘る過程で天然ガスが出て、大きな騒ぎになった。高レベル廃棄物を貯蔵するには、まったく不適当なところである。
 しかし、職員の人と話していると「適している」という話が出て、ほんとうに驚いた。
 ある職員の人が「廃棄物と言うので嫌われるのでしょうか。産業廃棄物もそうだけれども」と私に言った。また、ほんとうに驚いた。廃棄物といっても、これは高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題なのである。地下を掘ることで、地下水が一日一一〇トンほど流出していて、天塩川に流していると説明を受けた。福島の汚染水ではないが、日本は地下水がほんとうに豊かであり、地下水との闘いが発生する。どこを掘っても、豊かな地下水が流れており、地下水に高レベル放射性廃棄物が流れ出すことが十分あるのである。
 センターを運営する日本原子力研究開発機構と北海道、幌延町の三者で、放射性廃棄物の持ち込みはしないという協定が結ばれている。しかし、協定は協議によって変えることができる。また、この機構の野村理事が最近、坑道を将来、埋め戻すのがもったいないと発言した。二〇年程度でこの研究を終えるとしており、二〇〇一年に幌延で研究が始まったので、二〇二〇年には終了しなければならない。そのことについて埋め戻すのがもったいないと発言したのである。幌延の人たち、北海道の人たちは、この幌延がそのまま最終処分場になるのではないかとたいへん心配している。
 ところで、先日、福井地方裁判所が、大飯原発三号機、四号機について差し止めの判決を出した。画期的な判決である。原発を再稼働して、危険性を高めてはならない。また、原発を再稼働して、これ以上、使用済み核燃料を増やしてはならない。日本は原発を推進して、使用済み核燃料をたくさん作ってしまった。いずれの原発においても、この使用済み核燃料が満杯に近くなっている。
 日本学術会議は、高レベル放射性廃棄物について、いきなり最終処分に向かうのではなく、地上で監視しながら管理することを提案している。
 地層処分は、とにかく地下に埋めてしまって、問題を見えなくするものではないだろうか。泥炭でできている幌延の大地に立って、幌延を高レベル放射性廃棄物の最終処分場にしてはならないし、過疎地をターゲットにして、核のゴミを押し付けさせてはならないと実感した。埋めてしまえばそれで終わり。安全神話のもとで原発を推進してきた日本は、ここでも安易に地層処分をしようとしている。
 政府が最終処分場を早く決定しようとしているのは、各地の原発にある使用済み核燃料を運んできて、原発を再稼働するためである。そのことにも強く反対していこう。




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