福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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戦争をする国へ
〈『部落解放』2014年8月号〉

 

 集団的自衛権の行使の閣議決定をなんとか止めようと、多くの人とがんばってきた。違憲のことが、なぜ合憲になるのか。憲法の上に総理がいるのではなく、憲法の下に総理がある。違憲のことを閣議決定などできない。通常国会の会期中に閣議決定はされなかったが、今度は閉会中にするのではないかといわれている。
 戦争をしない国から戦争をする国へ。明文改憲にも解釈改憲にも反対である。解釈改憲は、国会も国民もまったく関与せずに、憲法そのものを破壊してしまうことが問題である。その解釈改憲も、閉会中にやるほうが開会中よりもっと罪が重い。閉会中に委員会で議論するといわれているが、そもそも十分な議論ができない。
 なぜ密室で、閣僚だけで決めることができるのか。いま日本の戦後政治は、最大の危機を迎えている。
 集団的自衛権の行使以外にも、どんどんひどいことが進んでいる。
 政府は四月、武器輸出三原則を撤廃し、輸出を原則認めることにした。武器を輸出しない国から武器を輸出する国へ。日本は海外で武器の展示会に出展している。
 また、防衛省は、国内の防衛関連企業を振興するための防衛生産・技術基盤戦略を決定。なんと、武器振興に補助金を出すという。関連企業への優遇税制を設け、海外進出などの際には国が資金を出す財政投融資を活用するなど、手厚い支援策を検討している。アメリカと共同生産する新型戦闘機F35の国際的な整備拠点の新設や、無人機の共同研究開発の推進まで盛り込んでいる。
 無人機などとんでもない。無人機で間違って殺された人が多いことが指摘されている。また、自分たちは安全圏にいながら、ゲームのような感覚で人を殺すことになってしまうのではないか。人を殺し、人が傷つくことすら実感できなくて、大量殺戮が進んでいく。
 軍需産業が肥大化していけば、戦争の道はより近づく。あるいは、世界で戦争が起きることを経済的に望むことになってしまう。
 そして、それだけではない。安倍政権は、途上国援助(ODA)の軍事目的での使用を禁じた規定を見直し、外国軍への支援を可能にする方向で検討に入っている。ODAを根本的に変えてしまうものである。
 戦後のさまざまな、戦争をしないための制約や、平和のための政治が、どんどん掘り崩されようとしている。
 通常国会の最終日、国会秘密保護法が強行採決された。国会法を改正して、国会の中に秘密保護法の運用に関する秘密会の審査会を設置するという与党案である。国会がチェックするとあるが、数十万件もの特定秘密をどうやってチェックするのか。内部告発の保護も制度化されていない。また、政府は、特定秘密の提出が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある」旨判断すれば、拒否ができる。強制力などない。委員は八人しかいない。少数派の意見はどれだけ尊重されるだろうか。
 結局、国会に対して、議員に対して、内閣の秘密を出さないための制度になってしまうのではないだろうか。国会よりも内閣が強いのである。内閣に拒否権があれば、意味がない。
 そして、大問題なのは、この法律の附則に、「検討」の見出しのもと、対外情報機関の設置が書き込まれていることである。国会で質問したが、これは諜報機関、つまり日本版CIAをつくるという構想である。こんなことを検討させてはならない。
 吉村昭さんの『戦艦武蔵』という本を読んだが、戦艦武蔵を造る民間企業の職員を特高警察が調査している。CIAやKCIA、戦前の特高警察などがどれだけの人権侵害を行ったか。
 どさくさに紛れて、こんな検討条項を国会法の改正法に盛り込むなんて、許せない。諜報機関をつくることを許してはならない。
 当たり前だが、政治は選挙の時だけあるのではない。国民が安倍内閣を支持しなければ、安倍内閣は途端に崩壊する。もう隷従しないと決意せよ。そして、声をあげよう!




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