福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

「参議院議員・弁護士 福島みずほのWebsite」はこちら



 

民主主義のために
〈『部落解放』2015年1月号〉

 

 国会に来て、現在の憲法審査会などで「日本国憲法は押し付け憲法であり、無効である」と発言する議員に出会った。国会の二世・三世議員の一部の人や、それ以外の人たちのなかでも、憲法が押し付けられたとほんとうに思っている人がいる。なぜか。彼らや彼らの親たちは戦前の支配層であり、日本国憲法はたしかに押し付けられたと思っているのかもしれない。日本国憲法ができたことで、既得権益を一部失ったのだ。
 秘密保護法案を議論している最中にテレビの討論番組で、推進派の自民党議員と討論をした。そのとき、その人は「福島さん、自分の家の鍵のありかを他の人には教えないでしょう。秘密は他には教えないんですよ」と述べた。私はほんとうにびっくりした。主権者である国民こそ、家の鍵のありかを知るべきである。秘密保護法を推進しようとする人たちは、主権者は国民であり、国民こそがその情報を知るべきであるという立場に立たず、国家と自分を同一視して、国家に秘密は必要だ、国民に情報を出させないようにすると考えているのではないか。
 私は、国民の立場に立たず、国家という立場から物事を決めようとする最近の政治の強い傾向こそ、きわめて問題だと考えている。国民主権、基本的人権の尊重の立場に立つ日本国憲法を歓迎せず、変えたいと思っている人々が現在、政治の中心を占めている。
 安倍政権のアベノミクスは、内需拡大という観点がない。国民の内需拡大という観点がないからこそ、消費税を増税し、労働法制の規制緩和を行って、さらに雇用を劣化させる政策が平気でとれるのである。
 一二月一四日に、衆議院選挙が行われる。私は、重要でない選挙などないけれども、今度の選挙は、戦後日本の政治のなかできわめて重要な選挙であると確信している。
 集団的自衛権の行使容認が議論されている衆議院議員の予算委員会で、安倍総理は「私が最高権力者です。選挙の審判を受けます」と言った。これは、さまざまな点で間違っている。まず、最高権力者であっても、日本国憲法を守らなければならない。いや、最高権力者であるからこそ、日本国憲法を守らなければならない。最高権力者であれば、何でもできると考えているところが、きわめて問題だ。そして、選挙の審判を受けると言った点も重要である。今度の衆議院選挙で、もしも安倍内閣が過半数以上をとれば、選挙の審判を受けたとして、これから政策を強行していくだろう。
 秘密保護法も、集団的自衛権の行使容認のたくさんの違憲立法提出も、消費税一〇パーセントも、原発再稼働も、派遣法改悪をはじめとした労働法制の規制緩和も、そしてTPP参加も、すべて国民の信任を得たとして強行していくだろう。
 ナチスドイツが、国家授権法を作り、ワイマール憲法がありながら、内閣で何でもできるとしていたために、ユダヤ人の虐殺を含むさまざまな蛮行が行われた。今度の選挙は、安倍さんの、安倍さんによる、安倍さんのための選挙であり、私にすべてが信任されたとするための総選挙である。
 国民が「そんなこと頼んでない」といくら言ったところで、信任されたとして強行していくだろう。人々がどのような意見を述べても、それをまったく聞かずに強行していく。沖縄の名護市長選で、那覇市長選で、沖縄県知事選で、辺野古に新基地建設をさせない人たちがいくら圧勝しても、辺野古新基地建設を強行しようとしている。沖縄の民意は踏みにじられている。
 民主主義と、国家と自分を同一視している人たちの上から目線との闘いである。私は民主主義を信じている。いま、民主主義にしか賭けていくものはないと思っている。今度の選挙は、安倍政権を退陣させるための選挙である。戦争と差別・排外主義を跳梁跋扈させてはならない。自分たちのためにがんばりましょう。




「福島みずほの人権いろいろ」index


HOME


JINKEN BOOKは、(株)解放出版社が提供しています。 無断転載を禁じます 。
Copyright (C)Buraku Liberation Publishing House Co.,ltd 2001, All Rights Reserved


E-mail

(株)解放出版社
Phone:06-6581-8542(代表) Fax:06-6581-8552
東京営業所: Phone:03-5213-4771(営業) FAX:03-3230-1600