福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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戦争法案を出させるな
〈『部落解放』2015年3月号〉

 

 四月二六日の統一自治体選挙が終わったら、安倍内閣は、多くの戦争法案を出そうとしています。去年七月一日、安倍内閣は、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしました。いままで自民党政権は、そして国会は、集団的自衛権の行使は違憲であるとしてきました。それを合憲としたのですから、大変なことです。閣議決定だけでは、自衛隊を動かせません。そのために戦争法案を出そうとしているのです。
 秘密保護法は、政府のなかでは二年ほど議論をしてきながら、なかなか国会に提出されませんでした。国会に提出をし、議論は沸騰したものの、閉会日の前日に強行採決をして成立させました。強引に短期間で進めたのです。同じようなことが今回起きるのではないかと思っています。六月二四日が閉会日です。議論が起きても、強行採決をして、閉会にしてしまうのではないか。そうさせないために、戦争法案を出させない運動をしていきましょう。
 それでは、どんな戦争法案が出てくるのでしょうか。
 まず、第一に、集団的自衛権の行使を武力攻撃事態法や自衛隊法に書き込むことです。まさに戦場で武力行使ができるように変えてしまいます。
 第二に、「後方支援」という名のもとに米軍などの戦争を支援することです。イラク特措法を作り、自衛隊はイラクへ行きましたが、非戦闘地域で武力行使はしないということを、繰り返し小泉総理は国会で答弁しました。非戦闘地域と戦闘地域の区別を聞かれて、「自衛隊が行くところが非戦闘地域だ」と迷言を吐きましたが、集団的自衛権の行使は違憲であり、戦闘地域には行かない、武力行使はしないということを政府は明言していたわけです。
 しかし、法律を変え、戦場以外のところに自衛隊はいくらでも行き、米軍の「後方支援」をすることができるようになります。武器・弾薬などの提供もします。何が変わるのか。非戦闘地域とは、現に戦争が行われておらず、かつ将来も戦場になることがないところといわれてきました。ところが、戦場以外には行けることになれば、将来戦場になる可能性のあるところでも、自衛隊はいくらでも行くことになります。
 また「後方支援」も大問題です。名古屋高裁は、イラク特措法の違憲訴訟で、自衛隊が米軍や武器・弾薬を運んでいたイラクでの実態は、憲法九条一項に反し、仮にイラク特措法が合憲だとしても、イラク特措法に反すると判決を出しました。つまり、自衛隊が米軍や武器・弾薬を運ぶことは、米軍と一体となって戦争をしていることにあたるとしたわけです。これは、いままでの政府の見解であり、一体化していれば、それは憲法違反と考えられてきました。それを覆してしまうわけです。
 安倍総理は、武力行使はしていない、戦場には行っていない、戦争をしているわけではないと強弁するでしょう。しかし、それはまさに一体となって戦争していることにほかなりません。
 集団的自衛権の行使を法律に書き込むことは、違憲の法律であり大問題であり、かつ、「後方支援」という名のもとに世界中で米軍の戦争を支援することになることも、違憲であり大問題です。
 そして、いままで自衛隊を派兵するには、テロ特措法やイラク特措法など新たな法律を必要としてきました。しかし、派兵恒久法が出てくる予定です。新たな法律なくして、自衛隊をいつでも派兵することができることになってしまいます。これは、まさに米軍戦争支援法であり、派兵恒久法です。  第三に、PKO法における武器使用の緩和や、いままで違憲としてきた駆けつけ警護を認めることです。
 第四に、自衛隊の活動領域の拡大もあります。  これらの戦争法案がおそらく一八本以上も一挙に出てくれば、問題点がみんなに浸透する前に強行採決される危険性があります。とにかく、いまからガンガン議論をし、戦争法案を出させないために力を尽くしていきましょう。戦争法案の紙芝居を作る予定です。ぜひ活用してください。




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