福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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戦争をする国にさせるな
〈『部落解放』2015年4月号〉

 

 人質となっていた湯川遥菜さんと後藤健二さんが殺されてしまいました。ほんとうに残念です。
 一〇年前のイラク戦争の際、高遠菜穂子さんたちが拘束されたときに、たくさんの人たちが何とか救出しようと動きました。集会が開かれ、多くの人が社会に対してメッセージを出しました。私自身も当時、アルジャジーラ放送に出て、訴えました。
 「私たちは憲法九条を持つ平和国家だ。六〇年間、海外で、人を殺し、殺されたりしていない。彼女たちはあなたたちの味方である。イラクの人たち、イラクの子どもたちのために活動してきた。私たちはあなたたちの敵ではない。イラク戦争に反対している国会議員も多数いることを知ってほしい。どうか彼女たちを解放してほしい」と。
 イラクの宗教者たちが動き、彼女たちは解放されました。
 今回も、後藤健二さんのお母さんである石堂さんが、事務所に来られ、官邸に対する働きかけをしたいとおっしゃいました。残念ながら首相官邸は、石堂さんに会いませんでしたが、そのとき、石堂さん、ジャーナリスト、市民のみなさんなどたくさんの人たちが、後藤健二さんの解放を求めて行動しました。
 石堂さんと私はその日、ヨルダン放送の取材を受けました。私は、「日本は七〇年間、人を殺し、殺されたりしていない。憲法九条を持ち、戦争をしない国である。後藤健二さんは、イラクの子どもたちのために行動してきた人です。どうか後藤健二さんを解放してください」と訴えました。
 残念ながら、後藤健二さんは、殺されてしまいました。
 そんななか、議員会館の中で「人質問題を考える」という集まりを持ちました。そのなかで、後藤健二さんに、いじめ・虐待の裁判を支援してもらっていた弁護士の杉浦ひとみさんは、日本政府は後藤健二さんを二度裏切ってはならないと発言しました。一度目は、命を救えなかったこと、二度目は、国民を道連れに戦争をする国にして、後藤健二さんの思いを裏切るということです。
 私は、日本の国は憲法九条を持つ平和国家であり、いままで人を殺し、殺されたりしていない、私たちはあなたたちの敵ではないと訴えることができることを大事にすべきだと考えています。そのことを訴えることができなくなったら、私たちはどれだけ大きなものを失うでしょうか。戦後の七〇年間のなかで、戦争をしてこなかったことは財産です。そのことが、日本人の命を守ってきました。
 アメリカとともにイラク戦争を行ったイギリスもスペインも、母国でテロが起きました。日本の中で、日本の外で、テロを起こさせてはなりません。  カメラマンの杉本祐一さんが、シリアに行こうとして、外務省から旅券の返納命令を受けました。旅券の返納命令を受け、旅券を失ったのは、初めてのことです。外務省は伝家の宝刀を抜きました。
 杉本祐一さんと話し、また集まりを持つなかで、憲法の保障する、移動の自由と、表現の自由、報道の自由に対する侵害だと強く思っています。
 これから、安倍内閣が、集団的自衛権の行使を法律に書き込み、また後方支援という名のもとに外国の軍隊と一体となって戦争をするようになったときに、戦場の様子や人々の様子が、しっかり報道されることがなければ、私たちは、その戦争のなかで、何が起きているかを知ることができません。また、日本の自衛隊がいったい何をしているのかということを知ることもできません。メディアが、大本営発表しかしなくなったら、戦争の実相を国民が知ることはできなくなってしまいます。ジャーナリストや市民が、現地に行くことを、外務省が旅券を出さないということで阻むことができたら大変なことになってしまいます。
 戦争をする国にするための国家の統制を、私たちは、民主主義を使ったさまざまな形ではね返していきましょう。多くの人と手をつないでいきたいと思います。




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