福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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ファシズム、14の特色
〈『部落解放』2015年9月号〉

 

 ウンベルト・エーコさんの『永遠のファシズム』を読んだ。そこに、ファシズムの一四の特色が、述べられていた。
1 伝統崇拝  ムッソリーニは、栄光のローマ文明を強調した。
2 モダニズムの拒絶
3 非合理主義  「インテリの豚野郎」「大学はコミュニストの巣窟」といったような知的世界に対する猜疑心である。
4 意見の対立は裏切り行為
5 差異の恐怖の利用  人種差別。
6 欲求不満に陥った中間階級への呼びかけ
7 いかなる社会的アイデンティティももたない人たちに対して、同じ国に生まれたということをアイデンティティとする  外国人嫌い。
8 敵の力を客観的に見る能力の欠如
9 生のための闘争なし。闘争のための生
10 大衆エリート主義  ポピュリズム。
11 一人ひとりが英雄。死の崇拝
12 マチズモ、男権主義  女性蔑視、同性愛に対する差別。
13 腐りきった議会主義、議会は民衆の声を代弁していないといった議会や民主主義に対する攻撃
14 ジョージ・オーウェル『1984年』のニュースピーク、新言語
 ナチスやファシズムの学校用教科書は、例外なく貧弱な語彙と平易な構文でなっている。
 これを読むと、今の安倍政権のもとで、この社会は、かなりこれらの特色を満たしているのではないかという気がしてくる。3の「非合理主義」のところでいえば、まさにいま大学に対する攻撃がなされている。内田樹さんは『日本の反知性主義』という本を編まれたけれども、知性に対する攻撃がされている。また、ファシズムが死を崇拝したり、男尊女卑で、差別主義で、排外主義というところもそのとおりである。
 8の「敵の力を客観的に見る能力の欠如」というところも、第二次世界大戦中、日本はアメリカなどの力を客観的に見ることができなかった。幻想やファンタジーの世界に生きていて、自分の都合のいいように現実を解釈し、強いきれいな言葉で、現実を覆い隠し、国民をとんでもないところに連れていく。客観的に政治をすることができない。
 私の大好きな言葉に、「平和と平等は手を携えてやってくる」という言葉がある。ファシズムはまさにその反対であり、戦争と差別排外主義は手を携えてやってくる。戦争は、何十万、何百万、何千万という人の命を根底から奪い、多くの人の人生を根本的に変えてしまう、最大の人権侵害である。
 だから、戦争に反対である。政府が、国を守るという美辞麗句のもとに、どれだけ多くの人の命と人生を奪ってしまうことになるのか。
 しかし、それだけではない。戦争する国は、戦争しなくても民主主義と自由を制限していく。メディアと教育をコントロールし、政府批判を弾圧し、情報をコントロールしていく。まさに洗脳内閣である。
 国民を洗脳し、監視し、弾圧しなければ、戦争などできない。多元的な価値や、人権、少数者の人権は、弾圧されていく。
 戦争反対という言葉を人々が言えなくなっていく。
 戦争法案が、国会で審議されている。私は、参議院のこの特別委員会で、委員になり、論戦をしている。ひと握りの人たちが、権力を独占し、日本を戦争のできる国にし、自由と民主主義を破壊していくのか、それとも、人々が主権者であることをふまえ、人のための政治、平和を実現する政治をまさにやっていくのか、岐路である。平和と自由と民主主義、命のために、未来のためにがんばろうと言いたい。




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