福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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アメリカの戦争の下請け法案
〈『部落解放』2015年10月号〉

 

 実は、いま、国会で大忙しである。
 参議院の安保法制特別委員会で、戦争法案の審議、参議院の厚生労働委員会では、年金情報漏れの集中審議や、生涯派遣のまま働かせることができる派遣法改悪法案がかかっている。参議院法務委員会では、ヘイトスピーチに関する法案が審議され、また、盗聴法の拡充などを含む法案も審議入りをした。さらに、マイナンバー改悪法案も内閣委員会にかかっている。
 そのなかでも、日本の戦後七〇年の平和の歩みを壊し、戦争のできる国にする戦争法案は、廃案にしなければならない。
 高校生や大学生のデモやアピールも活発になっているが、ひとりでも多くの人が声を上げ、変えていかなければ、日本は、戦争に参加をし、多くのものを失っていく。
 現在の周辺事態法では、自衛隊が米軍へのいわゆる後方支援として行う物品の提供について「物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする」としている。武器のなかに弾薬も入り、提供できないのである。
 これが、周辺事態法の抜本的な改悪法案「重要影響事態法案」と「国際平和支援法案」では、武器は提供しないが、弾薬は提供できるとなっている。いままでは、弾薬、武器を提供することは、戦争をしないと決めた憲法上問題ありとされてきたのに、戦場の隣で、弾薬まで提供しようとしているのである。
 弾薬とは何かと委員会で質問。防衛大臣の答弁は、消耗品であり、劣化ウラン弾もクラスター爆弾もミサイルも入ると答弁。核兵器も輸送できると答弁。何でもあり。弾薬は人々を殺傷するものであり、自衛隊は、戦場の隣で、ミサイルなどを日本の税金で提供し、戦争を支えていくのだ。
 二〇一〇年、ウィキリークスに、二〇〇七年、米軍が、米軍ヘリから一般市民を撃ち殺している動画が掲載された。衝撃的な動画である。ロイター通信記者二人や市民が撃ち殺されている。遠くから標的を決め、バンバン撃っている。おれにも撃たせろとはしゃぎながら撃ち、なんと遺体を回収に来た車まで、撃っている。道路に転がる死体。対テロ戦争とは、大量の市民の殺りくである。
 安保法制特別委員会では、動画は見せられないので、写真を掲げて質問した。
 重要影響事態法案では、いわゆる後方支援の名のもとに、他国の軍隊に弾薬を提供し、発進しようとする戦闘機に給油や整備ができる。いままで憲法上できなかったことを可能にするのである。
 いわゆる後方支援の前提となる戦闘行為は、国連決議や安保理決議を要件としていない。戦争の正当性の担保がないのである。もちろん、安保理決議、国連決議があるからといって、正しい戦争とはいえないが。
 発進しようとする戦闘機が、クラスター爆弾や劣化ウラン弾などを積んでいないという保証はどこにあるのかと委員会で質問した。
 防衛大臣はチェックをすると言うが、そのようなチェックなど、戦場の隣でできるわけがない。事前に協議をすると言うが、相手がそのことに従うという保証はない。アメリカは、イラクで劣化ウラン弾などを多用し、現在も被害が続いている。
 後方支援の名のもとに、ミサイルなどの弾薬を提供し、発進する戦闘機に給油をするということは、間違った汚い戦争に日本が加担し、日本が加害者になるということだ。弾薬や戦闘機の向こう側には無辜の民がいる。日本が提供した弾薬や、給油をして飛び立たせた戦闘機は、明確に、多数の人々を殺すのである。
 安保法制とは、戦争法案である。そしてこの戦争法案は、戦争下請け法案であり、アメリカの人員の肩代わり、予算の肩代わり、リスクの肩代わりをするのである。
 戦争の加害者にも被害者にもなってはならない。




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