福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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あなたの思いが社会を変える
〈『部落解放』2015年12月号〉

 

 参議院の安保法制特別委員会で、九月一七日、戦争法案が強行された。強行であっても成立していない。「議場騒然、聴取不能」と議事録に書いてある。現場で経験したことは、まさにそれである。
 戦後七〇年たって、日本の政府が、日本の若者に対して、他国で人を殺せと命ずることができる法案である。そんな戦後の出発点と戦後の七〇年間を大転換する法案を、「議場騒然、聴取不能」で、何も聞こえないまま、成立させていいのか。
 地方公聴会のあと、地方公聴会の報告を安保法制特別委員会でしていない。前代未聞である。議事録にも載せられないのである。
 そこで委員長は、国会の職員に命じて、地方公聴会の速記録を「(参照)」として議事録に掲載させた。正式に委員を派遣して地方公聴会をやりながら、「(参照)」とは、何ぞや。公聴会の意味がない。こんなかたちで、自分のやりたいことのために、なんでも強行していいのか。戦争法の強行は、クーデターである。クーデターは、早く元に戻さないと大変なことになる。
 この間、たくさんの人と一緒に行動してきた。新しい出会いもたくさんあった。高校生、大学生、ママたち、サラリーマン、組合の人たち、シールズ、ミドルズ、オールズ、初めて国会に来たという人たち、八〇代、九〇代の人たちなど。安保法制に反対するママたちの会や女性たちと、街頭で行動した。ママたちのスローガンは、「だれの子どももころさせない」である。法案が強行されても、みんな「これからだ」と危機感を募らせて、動いている。
 シールズ(SEALDs=自由と民主主義のための学生緊急行動)の大学生たちの活動には、励まされた。触発された。もちろん、八月三〇日に国会に一二万人以上の人が集まったのは、平和運動センターをはじめ、たくさんの人たちの長年の運動あってこそである。
 シールズのコールは、「民主主義ってなんだ?」「これだ」である。民主主義は、あの国会のなかだけにあるのではなく、一人ひとりの手のなかにある、一人ひとりの思い、言葉、行動のなかにあるということではないだろうか。あなたとわたしの会話のなかに、あなたと子どもの会話のなかに、あなたと職場の人との会話のなかにあるということではないだろうか。
 わたしが、わたしの言葉で、発言する。自由と民主主義を掲げていることも、とてもよくわかる。秘密保護法は、まさに自由と民主主義を制限するものであり、シールズの前身は、秘密保護法の反対運動をしていた。
 わたしが「戦争法案」と国会で質問をしたら、何と自民党から議事録からの削除要求を受けた。拒否したら、平行線のまま議事録にアップされた。まさに、自由と民主主義が制限される社会である。
 若者たちは、他の人たちのためではなく、まさに自分の自由や民主主義が侵害される、放置しているともっともっと侵害されると、ヒリヒリした危機感から動いていると思う。政治家たちに、大人たちに任せておいたら大変なことになる。戦争をする国は、そのズーッと手前の段階で、人々の自由や民主主義を制限する。そんな社会はごめんだと、声をあげている。
 中央公聴会で、元最高裁判事とシールズの二三歳、奥田愛基さんなどが、公述をした。二人ともすばらしい発言であった。奥田さんの発言も大きくとりあげられた。そのとき思ったのは、年齢、学歴、仕事、社会的ポジション、権威などが、相対化されたということである。今日、初めてマイクを握るママの、大学生の、高校生の言葉が、人の心を打つ。その人のほんとうに思っている言葉が、人の心を打つのである。
 人間は、みんな平等。あなたの思い、言葉、行動が社会を変える。地殻変動が起きている。民主主義は、これからだ。そんな地殻変動とシンクロして、社会を変えていきたい。




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