福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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LGBT差別解消法案を作成中
〈『部落解放』2016年1月号〉

 

 現在、LGBT差別解消法案を作成中である。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーである。LGBTの人たちの差別解消法案を作って、差別を解消していきたいということを、当事者を含めたみなさんと協議し、法案を作っている。
 私の秘書に、石川大我さんがなってくれた。彼はゲイをカミングアウトし、活動していて、以前から一緒に活動していたが、私の活動も大きく広がった。彼は、いま、豊島区議会議員である。国会図書館などから、世界のさまざまな国の同性婚法、同性パートナー法、教育のなかにおける取り組みなどをレクチャーしてもらう勉強会を行い、また、日本人が同性婚法、同性パートナー法がある国で結婚することができるよう、婚姻要件具備証明書の中身を変えてもらうなど、さまざまな取り組みを行ってきた。
 男女共同参画担当大臣のときに、第三次男女共同参画基本計画のなかに、性的マイノリティの問題を書き込んだ。また、部落差別の問題に関していえば、複合差別の問題を書き込んだ。
 だれでもそうだと思うが、私も一〇代のころ、この社会でどう生きるか考えていた。社会が求める女の子像と自分は明確にずれている。もっと自由に生きていきたい。この社会は生きづらい。なんとか変えたい。そのとき、私にとってとてもラッキーだったのは、社会のなかで、女の子も元気でよいのだ、いろんな生き方があるのだという女性運動が活発にあって、多くの先輩の女性たちに励まされてきたことである。直接的な形もあれば、間接的な形もある。
 子どもを産むときは、ほんとに悩んだ。結婚届を出すためには、どちらか一方が姓を変えなければならない。それはほんとうに大変である。しかし、結婚届を出さなければ、さまざまな不利益を受けるかもしれない。どうしたらいいだろう。
 正直、悩んだ。ただ、鏡に映る自分の顔に向かって呟きつづけていた。「世界中の人を騙すことはできても、自分を騙すことはできない」。困難でも、自分の信念に沿って、自分がいいと思うやり方で、自分の人生を生きるしかないと決意した。裁判を担当し、法制度が変わった。
 若いときの心細さをよく覚えている。一人ぼっちで、社会と向き合うような感覚であった。多くの人と力を合わせるけれども、個人として社会と向き合い、この社会を変えていこう。生きづらさを変えていくことは、この社会を変えていくことだ。他の人のためだけではない、まず自分のために、この社会を変えたいということである。
 差別やマイノリティについて思うことがある。
 私は、若いころ、よく「なぜ名前を変えたくないの」とか「なぜ結婚届を出さないの」と聞かれていた。そのときに、ドギマギしながらなんとか話していた。生き方はさまざまで、多様な生き方があってよいのに、マイノリティとされる側が、なぜそうするかを立証しなければならない。マジョリティは、立証などしない。この社会は、マイノリティとされる側にとって、なぜこのように住みにくいのか。
 私のまわりには、たくさんのLGBTの人がいる。他の人にはカミングアウトしていなくても、話をして、さまざま語ってくれる。私の実感では、この社会には、みんなが思っている以上にはるかにLGBTの人がいると思う。それぞれ、「早く結婚しろよ」と言われながら、自分のことを人には言えずに悩んでいる。合コンなどがとても苦痛だと言う人がいる。また、仮面をかぶっているようで、本当の自分を、職場や家庭や社会のなかで出せないことがとても苦痛だと語ってくれる人もいる。
 LGBTの若者の自殺は、そうでない人に比べてきわめて高いという統計を見たことがある。それはとても理解できる。若くて、感性がほんとうに豊かなときに、この社会に自分の居場所があるのかと悩んでしまうのだ。
 LGBTがマイノリティというのではなく、さまざまな人たちがこの社会には存在するという形になればいい。差別の形は、テーマによっても、実にさまざまである。しかし、共通の点があるとすれば、この社会のとてつもない生きづらさを、差別を根絶して、変えていきたいということである。それは啓発であることもあれば、法制度を変えるということもある。LGBT差別解消法案を成立させ、まず大きな一歩を踏み出したい。




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