福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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「保育園落ちた日本死ね!」
〈『部落解放』2016年5月号〉

 

 「保育園落ちた日本死ね!」のブログの中身は、衝撃的でした。いや、衝撃的というよりもわたしは、「わかる、わかる」と痛いように思いながら、文章を読みました。わたしも子どもが生まれて、保育園をさがすのが大変でした。そして、子どもを学童クラブに入れるために、孟母三遷ではないけれど、学童クラブの近くに引っ越しをしました。学童クラブに入れたときは、うれしかったです。もし入ることができなければ、仕事を中断するか、セーブしなければならなかったでしょう。まさに「保育園落ちたの私だ」です。自分のことなのです。
 安倍総理は、衆議院の予算委員会では、このブログは匿名であり、だれが書いたかわからないとして、質問にまったく答えませんでした。しかし、同じような思いをもつママたちが、多数反応しました。そのため、総理は、参議院の予算委員会でのわたしの質問には、子育て支援策を答弁しました。
 保育所問題は、まさに、政治のきわめて重要なテーマとなりました。当事者の切実な声がまさに政治を動かしました。一人の声が、さざなみのように広がって、大きく政治を変えるのです。切実な当事者の声が、現実や政治を変えるのです。
 池袋駅で街頭演説をしているときに、四カ月の赤ちゃんを抱えたママと話をしました。「保育園に落ちた。これから別の保育園に行くところだ」と話をしてくれました。その後、事務所に保活日記を送ってくれました。認可保育園にも認証保育園にもぜんぶ落ちた。一六園、実際に見学に行っている。無認可は七万円から一〇万円くらいしている。四月一日に復職しないと、退職せざるをえない。でも、働きつづけたい。頭が痛くて、眠れない。就活、妊活、保活とどれも辛かったが、保活は地獄だと書いてありました。それは、そのとおりです。四月一日に復職しなければならないのに、三月二二日の時点で、決まってないのですから。結局、無認可保育園に入ることができたとありました。彼女は、超党派で何とか改善してくださいと結んでいました。
 わたしは、少子化担当大臣のときに、国有地を保育園に貸与してもらうことに成功しました。第一号が世田谷、第二号が横浜です。現在、国有地を貸与してもらう保育園は、二〇件になりました。都会は土地がありません。土地を貸してもらって認可保育園を建てることが、きわめて有効です。もっと件数を増やし、もっと廉価で貸してほしいと予算委員会で質問をしました。
 保育士さんの待遇改善ももちろん必要です。介護士や保育士など、女性のケア労働とされていた分野は、賃金が安いです。非正規公務員の四分の三は、女性です。もちろん男性の低賃金問題も重要ですが、女性は賃金が安くて当たり前とされてきたことが問題です。
 母子家庭のお母さんの平均年間就労所得は、年間一八一万円です。この社会で、女性が当たり前に働いて、当たり前に子どもを食べさせるだけの賃金を得ることがまだまだ困難なのです。女性の活躍と言いながら、派遣法の改悪をして、一生涯派遣のまま働かせるようにしているのは、逆行しています。何が女性の活躍なのか。子どもを生んで働きつづけることが困難な社会で、何が女性の活躍なのか。ちゃんちゃらおかしいのではないでしょうか。働く女性の六割以上が、第一子を生むときに仕事を辞めています。
 国会にいると、少子化が問題という意見をよく聞きます。しかし、政治がやっていることは、少子化を進めることばかりです。
 まず、大学生の半分以上が奨学金を借り、何百万円という借金を抱えています。返さなくてもいい給付型奨学金は、政府はゼロです。働く人の四分の一は、年収が二〇〇万円以下です。非正規雇用は四割を突破しています。非正規雇用の七四%は、年収が一九九万円以下です。
 そして、保育園問題。官から民へと、公立保育園を民営化してきました。公立保育園は、減少の一途です。子どもに保育を受ける権利があるとは考えられていません。少子化が問題と言いながら、子どもを生み育てることを困難にしています。
 結局、どこかで、母親が育てればいいと思っているか、他人事なのか、現実のリアリティがわかっていないか、自己責任と思っているのではないでしょうか。しつこく保育所問題をやっていきます。




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