福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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熊本・大分地震から考える
〈『部落解放』2016年6月号〉

 

 熊本・大分地震で亡くなられたみなさんに心から哀悼の意を表し、被災されたみなさんに、心からお見舞いを申し上げます。人命救助と生活支援がしっかりできるようにがんばっていきます。
 本震と考えられていたものが、実は前震であり、マグニチュード7以上の地震が続いたことに、驚きました。阿蘇山の中まで断層が入っているという報道もありました。
 いま、日本で唯一動いている原発は、鹿児島の川内原発です。川内原発を止めなければなりません。原子力発電所は、運転をしていても、運転をしていなくても、地震や事故があれば危険です。しかし、運転をしているときに大きな地震や事故に見舞われれば、きわめて危険となります。制御棒がうまく入らずに、停止ができなければ、核の暴走が起きてしまうからです。
 東電福島事故で、わたしたちは、原発震災の被害の甚大さをあらためて知りました。地震や津波がおさまっても、放射性物質の被害のために近寄ることすらできず、救助すらままならなくなるからです。被害をこれ以上起こさないためにも、原発の稼働は止めなければなりません。
 東日本大震災のときは民主党政権で、菅総理大臣でした。そのとき、浜岡原発が稼働していました。マグニチュード8以上の東海地震が三〇年以内に起きる可能性は八七%という政府の答弁に、驚愕しました。「浜岡原発を止めるべきだ」と国会で質問を続け、菅総理は浜岡原発を停止します。
 ところが、安倍政権は、まったく考慮をしません。いまこそ、川内原発を止めろの声を大きくあげていきましょう。そして、大分の先には、伊方原発があります。伊方原発も、再稼働をさせてはなりません。
 世界の地震の一割以上が日本で起きるといわれています。その日本に、原発が密集しています。地震大国日本で、原発を動かしつづけるのか、この根本的な議論をすべきです。
 日本は、使用済み核燃料を再処理後の高レベル放射性廃棄物を地層処分する計画です。わたしは、北海道の幌延と岐阜県の瑞浪の高レベル放射性廃棄物の地層処分センターに行き、地下三〇〇メートルまで降りました。地下水が流れ、その処理が大問題でした。日本は、高レベル放射性廃棄物の処分地を決めていません。いや、決められないのではないでしょうか。地下水が流れ、地下水の処理と腐食が進むなどの問題が起きます。そして、あらためて地震の問題があります。高レベル放射性廃棄物の処分場が地震に見舞われたら、甚大な被害となります。地下深く、断層がどうなっているのかわからない面もあります。
 わたしは、核と人類は共存できないと考えています。世界のどこにも原発は不要です。なかでも、地下水が豊かで、しかも地震の多い日本は、原発の立地にもっとも不向きなところです。いまこそ、脱原発に大きく舵を切るべきときです。
 そして、熊本・大分地震が起きたときに、菅官房長官が、憲法を改正して緊急事態条項を入れるべきだと発言したことに強く抗議したいと思います。自民党は、すでに日本国憲法改正草案を発表していて、緊急事態条項も入っています。自民党のなかには、お試し改憲として緊急事態条項からやろうという動きがあります。抵抗が少ないところからやろうというわけです。しかし、これは大変な条文です。内閣は、法律と同じ効力を持つ政令を作ることができ、予算も付けられます。国会は、主権者である国民の代表で構成されている国権の最高機関です。そして唯一の立法機関です。国会でしか法律は作れません。しかし、その立法権を国会から取り上げて、内閣で実質的に法律を作ることができるとするわけです。実質的に法律改悪もできます。内閣が、国会から立法権と財政権を取り上げ、司法権以外のすべての権限を手中に納めるわけです。これは独裁でしかありません。ナチスドイツの国家授権法と一緒です。ナチスドイツは、ワイマール憲法がありながら、国家授権法を作り、内閣限りで基本的人権を制限できるとしたために、あの暴虐の限りを尽くせたのです。
 阪神・淡路大震災でも、東日本大震災でも、今回の熊本・大分地震においても、緊急事態条項がなかったために困ったことなど一切ありません。災害の多い日本で、緊急事態宣言が乱発される可能性もあります。「お試し改憲」など、させてはなりません。




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