福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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憲法を守っていこう
〈『部落解放』2016年8月号〉

 

 日本国憲法は「日本国民は」で始まっている。これに対して、自民党日本国憲法改正草案は「日本国は」で始まっている。もっというと、日本国憲法は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」となっているのに対して、自民党改憲草案は、「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって」となっている。
 個人・国民から、国家への転換が行われている。  個人一人ひとりを大事にする社会から、国家主義へ。  憲法は、人権を守るために国家権力を縛り、たとえば、表現の自由を侵害してはならないとするものである。しかし、自民党改憲草案は、国家権力ではなく、国民を縛るものになっている。国民は「公益及び公の秩序」に従わなければならないとしている。  国家と個人の主従関係が逆転するのである。
 だから自民党改憲草案は、憲法とはいえないものだし、たいへん危険である。しかもご丁寧に、「国民は、この憲法を尊重しなければならない」となっている。
 国家主義の台頭を許してはならない。
 国家のために命を投げ出す国民をつくることは、為政者にとってまことに都合がいいものである。福山雅治さんが結婚したときに、菅官房長官は、「女性のみなさん、たくさん子どもを産んでください。そして、国家に貢献してください」と言った。かつて「女は子どもを産む機械」と言って、女性たちの怒りを買った厚生労働大臣がいた。女性議員たちで抗議した。官房長官の発言は、それよりはるかにひどい。国家に貢献と言い、国家主義が出てきたからだ。
 わたしたちは、自分の喜びのために子どもを産み、生まれた子どもと一緒に生きようとする。国家のためではない。
 自民党改憲草案は、憲法一三条の「個人の尊重」を「人の尊重」に変えた。自民党は、個人の尊重が嫌いなのだと思う。
 個人の尊厳、両性の本質的平等を規定している憲法二四条を変えて、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」としている。
 個人ではなく、家族が最小の単位なのである。自民党は、選択的夫婦別姓に反対である。家族を最小の単位と考えるので、その家族のなかで夫婦が別の名前というのは、認めないのである。個人の人権、女性の人権は認めようとしないのである。
 ナチスドイツは、ユダヤ人、ロマ民族、障害者、同性愛の人、共産主義者、社会民主主義者、自由主義者などを弾圧し、虐殺した。国家主義は、国家にとって有用かどうかで人々を判断し、有用でないものは切り捨て、邪魔なものは弾圧していく。
 国家にとって有用かどうかで判断するのであれば、個人の尊重などありえない。
 そして、国家のために、お国のためにと言いながら、あるいは、日本が脅威にさらされていると煽りながら、実は一握りの人たちが政治を私物化していくのである。
 いま、参議院選挙の最中である。安倍総理がやりたいことは一つだけであり、それは憲法を変えることである。総理は、自分の三年間の任期中に憲法を変えると言った。また、今度の参議院選挙で、憲法改正の発議に必要な三分の二以上の議席の獲得をめざすと言っている。日本国憲法を持ちつづけることができるのかどうかが問われている。
 わたしは、自由と民主主義のある社会に住みつづけたい。子どもたちの未来に、戦争も、原発事故も、貧困もいらない。何をわたしたちが守るかが問われている。
 憲法、自由、民主主義、平和、子どもたちを守っていこう。水平社宣言の熱い思いを原点に、力を合わせよう。わたしもがんばります!




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