福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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高江は日本の最前線
〈『部落解放』2016年9月号〉

 

 参議院選挙が終わりました。参議院で改憲勢力が三分の二を占めるという厳しい結果です。安倍政権は、いつでも憲法改悪の発議ができることになりました。わたしは、国会に戻ることができたので、国会の内外で、改憲を阻止するために全力を注ぎます。選挙のときに約束した護憲、社会民主主義の政策、脱原発、辺野古の新基地建設反対をしっかり実現していきます。
 その参議院選挙の投開票が終わった次の日である七月一一日の朝六時過ぎに、沖縄・高江で、ヘリパッド建設工事が突然再開されました。二二日には、東京、神奈川、千葉、愛知、大阪、福岡からきた五〇〇人以上の機動隊員によって、N1ゲートのテントが撤去されてしまいました。殴られる人やケガをする人が出ました。四人が救急車で運ばれました。このときのあまりに暴力的な排除は、インターネットなどで拡散され、わたしも衝撃を受けました。「えっ、これが現代の日本なの!」と。問答無用の実力行使です。
 そこで、高江に七月二六日、二七日と行ってきました。やんばるの森は豊かです。沖縄の水の六割を供給している水瓶です。世界自然遺産に登録しようともいわれているほどの自然です。ここを巨大なヘリパッドにする計画があります。ヘリパッドというよりオスプレイパッドです。さらに増やすという計画です。辺野古に建設されようとしている基地はまさに軍港も備えた巨大な基地であり、高江のオスプレイパッドは、基地機能の強化です。どこが沖縄の基地負担の軽減なのでしょうか。
 沖縄県議会は七月二六日、ヘリパッド建設中止を求める意見書を政府に提出しました。民意はヘリパッド中止です。政府は、地方分権というのであれば、しっかり地方の声に応えるべきです。
 N1ゲートの前のテントは、七月二二日、暴力的に撤去されてしまいましたが、ここは県道です。撤去し運び去った資材を現在持っているのは、防衛省です。なぜ防衛省が、県道の上のものを撤去し、持っていることができるのでしょうか。治外法権ではないでしょうか。高江でわたしが感じたのは、この治外法権ということです。
 七月二二日は、道路を封鎖し、外部から人を入れませんでした。まさに戒厳令。応援しようと駆けつけた市民を入れないようにしたのです。
 自民党が考える憲法改悪草案には、緊急事態宣言条項が入っています。緊急事態宣言が発せられると、内閣は、法律と同じ効力を持つ政令をつくることができます。国会から立法権を取り上げ、内閣限りで実質的に法律がつくれるし、実質的に法律を改悪できるし、内閣限りで基本的人権を制限できます。内閣が、三権のうち二権を独占します。まさに独裁です。高江の事態は、政府が問答無用で、法律を無視して弾圧するという意味で、この緊急事態宣言の先取りではないでしょうか。これから安倍政権は、たとえば高レベル放射性廃棄物処分場の立地を決定し、建設を強行するときに、同じように問答無用でやるのではないでしょうか。
 辺野古と高江は、日本の最前線です。問答無用の弾圧を受けている最前線であり、安倍内閣によって民主主義が踏みにじられている最前線であり、弾圧されても負けない最前線でもあります。
 先の大戦で沖縄は唯一、地上戦を経験し、人口の四分の一が亡くなりました。北部の森には多くの人が逃げ込み、また、多くの人がここで亡くなりました。
 安倍政権は人々をだまし、そしてだませない人々、つまりまつろわぬ人々は弾圧をしています。権力にまつろわぬ人々に対する弾圧は、容赦のないものです。沖縄に対して、本土全体で襲いかかっています。沖縄の人たちが、なぜ声を聞いてくれないのか、なぜ沖縄はいつも踏みにじられるのか、これは差別だと思うのは、ほんとうに理解できます。行ける人は、高江に行ってください。そして、ほんとうの民主主義を一緒につくっていきましょう。




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