福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

「参議院議員・弁護士 福島みずほのWebsite」はこちら



 

沖縄への差別
〈『部落解放』2016年11月号〉

 

 沖縄に対して行われているのは差別である。
 国土面積が〇・六%の沖縄に、在日米軍の七四%の基地が集中している。全国に点在していた米軍基地が、沖縄に集中されてきた経過もある。
 沖縄に集中している結果、本土では、基地のある地域を除いて、日米安保の問題、地位協定の問題、爆音や被害の問題が共有されにくくなっている。一部の人々、一部の地域に多大な負担をかけ、無関心や見て見ぬふりをしていることは、加害行為に加担していることではないか。
 経済産業省前の脱原発テントが撤去されたのは残念だが、経済産業省は、このテントを撤去するために、最高裁判所まで争い、判決を確定させ、強制執行をした。これに対して、防衛省は、何らの法的手続きを取ることもなく、七月二二日、高江の県道の上にあったN1ゲート前のテントを壊し、持っていってしまった。
 霞ヶ関のテントと沖縄高江のこのテントの違いは何だろう。
 遠く離れたところにある問題は、見えにくし、全国であまり報道されない。
 辺野古の新基地建設反対の沖縄の民意ははっきりしている。名護市長選、名護市議選、県知事選挙、衆議院議員選挙、参議院議員選挙で、反対派が勝っている。高江のヘリパッド建設についても、県議会は工事中止の意見書を七月、政府に提出している。「沖縄の心に寄り添って」とか「ていねいに説明し」と政府は言うが、そんなことはまったくない。現場では、工事をやめさせるための座り込みなどが続く。それをごぼう抜きにしていく。地上戦を経験した沖縄で生き延び、いま車椅子に乗り、抗議行動に参加している島袋文子さんもケガをした。これが現実だ。
 嫌だ、やめてくれという声をなぜ聞かないのか。
 高江には、七月、八月と行き、九月も三泊四日いた。九月一三日から自衛隊のヘリが重機を吊して県道を越えるということが行われた。地上ではなく、空から運ぶ。しかし、どんな根拠があってヘリコプターを使用して運べるのか。自衛隊法にはない。また、大阪航空局に申請書を出し、許可を得なくてはならないが、一三日の時点で、申請書も許可書も出されていない。防衛省は、電話を使って口頭でやりとりをし、後日、文書を送付したと言っている。しかし、これはおかしい。自衛隊のヘリが重機を運んだときには、申請書も許可書もないのである。
 警察の車が工事の作業員を運んだ。これもおかしい。警察は、工事の下請け会社ではないのである。
 高江は、沖縄は、憲法番外地であり、無法地帯になっている。
 ここは国定公園。世界自然遺産に登録されようとしている自然の豊かなところである。沖縄本島北部にのみ生息しているノグチゲラという体長三〇センチほどの鳥など、ここにしか生息しない生物もいる。立木を伐採し、基地内に道路を造り、オスプレイパッドをさらに四基造ろうとしている。森が破壊され、夜一〇時を過ぎてもヘリが飛び、夜中の騒音が続き、住民の生活も破壊されつつある。
 沖縄に、日本国憲法が規定する平和的生存権はない。こんな不条理を許してはならない。こんな差別を許容してはならない。
 九月二六日、議員会館で、「相模原障害者殺傷事件の犠牲者を追悼し、想いを語る会」が開かれた。社会の根底にある障がい者差別を根絶していかなければならない。
 ナチス・ドイツは、ユダヤ人を多数虐殺する前に、障がい者を多数虐殺した。ロマ、同性愛の人たちも多数殺された。共産主義者も社会民主主義者も自由主義者も組合活動家も殺された。
 弾圧は、自分のところにはこないと思っていると、次に自分のところにくるのである。他者に加えられている弾圧と自分とは、地続きである。
 民主主義をつくり、勝ち取るために闘っている人たちは、わたしたちの代わりに闘ってくれている人たちである。あるいは、一緒に闘っている人たちである。わたしは、法の支配があり、民主主義が保障される社会に住みたい。差別のある社会を何としても変えたいものである。




「福島みずほの人権いろいろ」index


HOME


JINKEN BOOKは、(株)解放出版社が提供しています。 無断転載を禁じます 。
Copyright (C)Buraku Liberation Publishing House Co.,ltd 2001, All Rights Reserved


E-mail

(株)解放出版社
Phone:06-6581-8542(代表) Fax:06-6581-8552
東京営業所: Phone:03-5213-4771(営業) FAX:03-3230-1600