福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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南西諸島に自衛隊の基地
〈『部落解放』2017年2月号〉

 

 沖縄の高江と辺野古新基地建設は大問題だが、南西諸島への自衛隊配備、ミサイル配備も大問題である。南西諸島には、二〇一六年三月、与那国島に自衛隊が配備されるまで、陸上自衛隊の基地はなかった。宮古島に航空自衛隊のレーダー基地があるだけである。そこへ、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島という南西諸島に、自衛隊の基地を造る計画が持ち上がっている。防衛省は、与那国島に沿岸監視部隊を置き、次に奄美群島の奄美大島に地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊を新規編制し、奄美と同じ種類の部隊を宮古島、石垣島に配備しようとしている。
 先日、宮古島と石垣島に行ってきた。宮古島と石垣島で、基地予定地の地元の住民の人たちは、自衛隊基地を造ることに反対であり、積極的な活動をしていた。宮古島では、赤ちゃんを抱えて三〇代のママたちが、果敢にすばらしい活動をしている。市長に直接抗議をしたり、市庁舎を二〇〇人以上の市民で取り囲むなどもしている。地域の人たちと意見交換会ができたことはほんとうによかった。宮古島も石垣島も、島の真ん中に巨大な自衛隊基地を造る計画である。ミサイル防衛計画でミサイルも配備される。島が軍事要塞化してしまう。宮古島も石垣島も観光や農業が活発で、美しい海に囲まれた歴史や伝統文化のあるすばらしいところである。それらの島々が、自衛隊、軍事の島になるのである。
 宮古島では、地下水が汚染されることを多くの人たちが心配していた。水を地下水に頼っており、いったん地下水が汚染されれば、生活そのもの、命そのものが成り立たなくなる。いずれの島にも共通しているのは、防衛省が情報を出さず、住民無視で進めていることである。
 石垣市では、二〇一六年三月、配備予定地区の平得大俣地区に近い三地区の公民館長が市議会議長に対して、自衛隊配備計画の中止を求める陳情書を提出。しかし、九月には、石垣市議会は、「石垣島への自衛隊配備を求める決議」を与党の賛成多数で可決。一〇月一〇日、平得大俣地区に近い川原地区が陸自配備計画に反対する決議を決議。一〇月一一日、九団体、九個人が「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」を立ち上げた。
 中止を求めている住民側の主張は、次のようなものである。石垣市への説明なしの一方的な現予定地選定に反対、地域特産や畜産への影響による後継者不足と地域衰退、有事の際に標的となる恐怖と不安、市民の飲料水や河川の水質と水脈への影響、自然環境や希少動植物への影響、台湾、中国からの観光客の減少である。どれもまさにそのとおりである。
 自衛隊の島奪還のシナリオのビデオを見た。宮古島などを想定していると思われる。島をどう奪還するか。驚くべきことにこのビデオには一人の住民も民家も出てこない。島という領土であって、人には関心がないのではないか。
 沖縄本島の高江や辺野古、オスプレイの墜落をみても、実はそう思う。墜落したのは、民家のすぐ近くである。「島」でしかなく、そこに人が住んでいて、生活と人生と文化があるという感覚がないのではないか。五万人以上の人を「有事」の際に避難させる計画は、宮古島にも石垣島にもない。そもそも島で、多くの人がいっせいに島の外に逃げることは不可能である。
 高江や辺野古は、米軍基地を造ろうというものだが、自衛隊も使うことになっている。自衛隊の恒久基地ともいえる。与那国島、石垣島、宮古島、奄美大島は、自衛隊基地の設置だが、もちろん米軍も使う。南西諸島の地図を足で踏んで、米軍が戦略を指し示す写真がある。自衛隊員と思われる人たちも写っている。まさに、米軍の指揮のもとの自衛隊配備、ミサイル防衛計画である。
 米中戦争が万が一起きたとき、アメリカも中国も戦場にはならないだろう。戦場になるのは、沖縄本島であり、南西諸島ではないか。ここで、局地的な武力行使が行われるのではないか。山城博治さんはじめ多くの人が、「ふたたび沖縄を戦場にするな」と言う。その言葉を、まさにひしひしと高江で辺野古で、南西諸島の現場で感じる。もう一度、盾にしようとしているのではないか、またふたたび沖縄などを捨て石にしようとしているのではないか。
 地元で必死に闘っている人たちと連携し、南西諸島それぞれが、自衛隊の要塞基地とならないようやっていこう。




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