福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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安倍政権がめざす未来
〈『部落解放』2017年5月号〉

 

 森友学園が造ろうとしている瑞穂の國記念小學院を見学した。
 隣接する豊中市の公園は、ゴミ付きで豊中市が一四億円で買っている。なぜこの小學院の土地はただ同然なのか。なぜ八億円以上のゴミがあるとして値引きが可能だったのか。
 森友学園理事長の籠池さんは、大阪の日本会議の幹部である。安倍昭恵さんは森友学園が経営する塚本幼稚園に四回行き、三回講演をしている。二〇一五年九月五日、まだできあがっていないこの小学校の名誉校長に就任している。小学校のホームページに掲載され、小学生募集のパンフレットにも大きく掲載されていた。
 籠池さんは三月二三日、証人喚問された。内閣総理大臣夫人付き秘書官が、財務省と交渉し、その結果を二〇一五年一一月一七日、籠池さんにファクスしている書面が明らかになった。事態は別の局面を迎えた。安倍昭恵さんが具体的に役所に働きかけ、交渉していたことが明らかになった。相手は田村国有財産審理室長である。安倍昭恵さんには、常勤二人、非常勤三人の役人がついている。首相官邸に部屋を持ち、二人は常駐している。首相官邸にいる首相夫人付きの役人から交渉されれば、財務省の室長は、これは首相夫人、首相の案件だと考える。実際、この田村国有財産審理室長は、六カ月後、八億円以上のゴミの処理について、交渉する当事者である。
 安倍昭恵さんは、首相夫人という立場を利用して、さまざまな権力を行使している。これは総理自身の権限乱用なのではないか。安倍総理自身が一〇〇万円の寄付をしたのかなどについては、今後その真否を明らかにしなければならない。
 さまざまな人たち、さまざまな文化人、安倍昭恵さん、安倍首相が、森友学園を応援してきている。それは、この森友学園が自分たちと思想信条を共有していて、その教育を評価しているからではないか。この小学校が塚本幼稚園の延長線上にあり、安倍総理、安倍昭恵さんをはじめとして、多くの人々の希望だったのではないか。塚本幼稚園では、教育勅語を幼稚園生に暗唱させている。稲田防衛大臣は、かつて雑誌の中で、大阪に教育勅語を子どもたちに暗唱させる幼稚園があるが、文科省が問題があると言っていることが問題ではないかと述べている。私は稲田防衛大臣に教育勅語について質問した。稲田大臣は、教育勅語の精神を取り戻さなければならないと述べた。
 教育勅語は、明治天皇が臣民に授けるという形をとっている。教育勅語の最後の部分、天皇のために命を捧げるという部分が、お国のために、天皇のために命を捧げるという子どもたち、若者をたくさんつくった。私の父もその一人である。日本国憲法が規定する国民主権や個人の尊重に反する教育勅語については、一九四八年、衆議院と参議院でそれぞれ排除と失効確認の決議がされた。
 ところが、自民党が発表している日本国憲法改正草案は、教育勅語とつながっている。「天皇を戴く国家であって」とその前文にあり、天皇を元首にしている。また、日本国憲法にある「個人の尊重」を「人の尊重」に書き換えている。国民は「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」としている。憲法二四条を改悪して、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」としている。個人として尊重されるのではなく、家族が最小単位であるとしているのである。天皇を頂点とし、家族が最小単位で、個人の尊重はやめて、家族は協力し合う、そんな社会を考えているのではないか。
 塚本幼稚園で子どもたちが「安倍首相がんばれ」「安保法制が通過してよかったです」と唱和する映像に心底驚いた。安倍昭恵さん、安倍総理もこの森友学園を応援してきた。安倍総理が、安倍内閣がつくりたいと思う未来は、このような未来なのではないだろうか。批判精神をもたず、政権を応援し、支えていく。これが民主主義だろうか。安倍総理を応援し、批判しない子どもたち、若者をつくりたいと思っているのではないか。
 森友学園のおどろおどろしさは、安倍政権のおどろおどろしさであり、自民党日本国憲法改悪草案のおどろおどろしさである。私たちがつくろうと思う未来は、安倍総理がつくろうと思う未来とまったく異なっている。違う未来を全力でつくっていこう。




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