福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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憲法改悪に向かう安倍政権
〈『部落解放』2017年8月号〉

 

 共謀罪法が成立した。過去三回廃案になったのに、今回四度目、成立を許してしまった。
 六月一八日が会期の終了予定日だった。会期の延長があるといわれていたが、安倍総理は、一日たりとも会期延長をしたくなかった。会期延長をすれば、かけ、もり、つまり、加計学園問題と森友学園問題が野党の議員から質問される。それが嫌だったのである。
 会期は終わりたい。しかし、共謀罪法だけは成立させたい。そのためにひどいやり方で共謀罪法を成立させた。短い時間での審議終了と中間報告である。なんと参議院の法務委員会での審議はわずか一七時間五〇分である。一九九九年の暑い夏、盗聴法反対でがんばっていたが、あのときは八月の半ばまで審議をしていた。共謀罪法は、新たに二七七、いや、数え方によっては三一六もの新しい犯罪をつくるもの。参議院の法務委員会の審議がわずか一七時間五〇分なんて。
 あまりに急いで会期内に成立させるために、与党は、中間報告によって本会議で採決という凶暴なやり方に出た。衆議院の法務委員会での採決は強行採決だったが、参議院は、法務委員会で採決すらさせなかったのである。
 国会法で、必要がある場合は、委員会の採決を省略して、本会議での採決ができる。しかし、これはきわめて限られた場合である。今回どんな必要性があるのか。与党は説明ができなかった。国会法違反である。
 共謀罪法は、憲法違反、国際人権規約違反、そして、国会法違反である。正当性がない。共謀罪法の廃止を求めて声をあげていこう。共謀罪法は、七月一一日に施行される。作動しないように、乱用されないように監視し、これまた声をあげていかなければならない。
 いま、わたしは、大事な憲法九条が改悪され、破壊されることをとにかく止めたいという気待ちでいっぱいである。
 スピードが速まり、中間報告という奇襲作戦での共謀罪法の成立のように、不意打ちで事態を進めようとしているのではないか。安倍政権は、秘密保護法、戦争法、共謀罪法を強行に成立させ、いま憲法改悪に向かおうとしている。
 安倍総理は、二〇二〇年までに憲法九条を変えて施行すると宣言し、今年の秋の臨時国会で、憲法審査会に自民党の改憲案を出すと言った。自民党憲法改正推進本部長の保岡議員は、来年六月に憲法改正を発議すると言った。猛スピードである。自民党総裁選は来年の九月だから、安倍総理は、いまの総裁の任期中にやろうとしている。来年夏に、衆議院選挙と憲法改正のための国民投票をしようとしている。つまり、憲法改正のための国民投票まで国政選挙はやらず、三分の二の改憲勢力を維持したまま憲法改悪に突入しようとしている。選挙のリスクは回避し、とにかく憲法改定をしようとしているのだ。
 何を変えようとするのか。まず憲法九条である。安保関連法、選挙法を合憲化する。いままでの政府見解すらねじ曲げて、集団的自衛権の行使、つまり自分の国が攻められていないのに、他国と一緒に世界で戦争をすることを可能にした。これは、憲法九条違反なのに、強引に法律を成立させた。
 安倍総理は、自衛隊を憲法に明記すると言うが、これは、集団的自衛権を行使する自衛隊を明記するということだ。自衛隊の任務として、集団的自衛権の行使が入る。将来は、軍事裁判所や憲兵隊がつくられていくだろう。軍隊があることを前提に、法制度が全面的に変わっていく。憲法九条破壊である。
 第二に、教育の無償化を言うだろう。しかし、教育の無償化に憲法改正は必要ない。いますぐやればいい。第三に、緊急事態宣言条項である。内閣限りで基本的人権を制限できる実質的な法律がつくれるようになる。第四に、鳥取・島根などの合区解消のための憲法改正である。参議院議員はこれに飛びつくだろう。しかし、これは公職選挙法でやるべきことであり、憲法改正の問題ではない。
 主権者であるわたしたち一人ひとりが問われている。憲法を守ろう、憲法九条を守ろう、人権を守ろう、民主主義を守ろう、未来を守ろうと声をあげよう。




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