福島みずほの人権いろいろ


月刊誌『部落解放』好評連載中コラムを福島みずほさんのご了解を得て、転載いたします。

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LGBT、女性、障がい者

『部落解放』2018年10月号

 

 社会のなかにあったさまざまな差別が、表に出てきた。あまりにひどい。しかし、逆に、この差別をなくし、公平な社会をつくっていかなければならない。公平な社会にする契機にしなければならない。
 自民党の議員が月刊誌に、LGBT(性的マイノリティ)の人たちは「生産性」がないと書いた。税金で支援することに疑念を提起した。しかし、まず、人を生産性があるか、ないかで分けることそのものが間違っている。そもそも生産性って何だろう。子どもを産まない人、いない人は生産性がないのだろうか。しかし、人は個人として尊重され、すべての人は幸福追求権をもつ(日本国憲法一三条)。子どもをもつかどうか、何人もつかは、その人自身が判断することである。人は、生まれながらにして、自由で平等であり、国から仕分けをされる対象ではない。しかも、「生産性」という言葉は、怖い言葉である。高齢者や病気の人、障がいをもつ人などを「生産性」がないとして切り捨てることにならないか。
 また、東京医大の入試において、二次試験で女性は点数に一律〇・八をかけて減点し、また、多浪(浪人を多くしている)の人などは、男性でも不利益に扱っていたことが明らかになった。同じ点数だと女性は不合格になるのである。明確な女性差別であり、憲法の法の下の平等違反である。教育の機会均等がないということが明らかになった。
 女性は、子どもを産むようにと言われる。ところが、仕事をしていて子どもを産むと、「迷惑だ」とか「使いづらい」とか「だから女性はダメだ」と言われる。そして、今回の東京医大のことで明らかになったように、子どもを産むか、産まないかというずーっと手前で、女性であるというだけで差別を受けるのである。
 女子で、医者になりたいという子どもによく会う。資格をもって、手に職をもって、一生働けるからだろうか。私の高校時代の同級生の女性は、医者になり、アフリカのザンビアで医療活動をしている。ほんとうに頭が下がる。また、社会人になり、それから一念発起、医者を志す人もいる。こんな人たちは貴重ではないか。しかし、年齢が高いことは、多く浪人をすることと同じで、不利益に扱われている例がある。
 女性を一律減点するのは、女性は出産や育児で辞めたり、十分働けないことがあるから、女性の合格者を増やさないためと言われることがある。冗談ではない。出産は女性にしかできないが、育児は男性もやるべきだし、かけがえのない経験である。男性も含めた医者の働き方そのものを変えないかぎり、医者の過労死などの問題をなくすことができない。
 男性の働き方をそのままにして、これに適合できる女性だけ認めてあげますよ、そうでない女性たちは排除するというのであれば、この社会の働きにくさ、生きにくさは、変わらない。この社会で、ますます子どもは生まれなくなるだろう。女性を排除することではなく、この社会をこそ変えなくてはならない。公平な社会をつくる契機にしなければならない。
 そして、中央官庁のなかで、障がい者の雇用率について水増しをしていたことが明らかになった。現在、自治体でも水増ししている例が明らかになってきている。このために、本来は雇用されるべき障がい者が雇用されなかったのである。障がい者の存在を否定する、何という裏切りだろう。自治体には障がい者枠があると聞いた。しかし、中央官庁にはない。障がい者枠を設けないかぎり、障がい者を多く雇うことができない。また、いままで中央官庁に障がいをもった当事者が少なかったことが、障がい者政策があまり進まなかった大きな原因ではないだろうか。いまこそ変えていくべきである。
 この三つのことには共通点がある。LGBT、女性、障がい者であることで排除されているということである。そのカテゴリーに属するということで、この社会で差別を受けている。女性と障がい者の問題は、データを改ざんして、合格とすべきものを落としていたのである。制度を変えていくことを多くの人とやっていきたい。




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